「一部の審判の判定はファンを失望させた」柔道ルール改正を英メディアが提言 「オリンピックの観客はもっとアクションや美しい動きを見たいと思っている」
今回のパリ五輪柔道においては不可解判定が日々注目を集めた。 日本チームでは7月27日に行われた柔道男子60キロ級の準々決勝、永山竜樹とフランシス・ガルリゴス戦の「待て」をめぐっての審判判断や、相手側の消極的な姿勢が目立ちながら「指導」が出ないなど、様々な判定をめぐって批判が噴出した。 【画像】エアコンなしの質素なデザイン? パリ五輪選手村の全容をチェック 日本だけではなく、不可解判定をめぐってイタリア柔道連盟も国際柔道連盟(IJF)に抗議するなど場外戦も起きていた。 これらパリ五輪の柔道で不可解判定が噴出したことを受け、英国の五輪専門メディア『inside the games』は2028年ロサンゼルス五輪に向けてルール改正を提言した。 同メディアは今回のパリ五輪で行われた様々な各競技を総括、課題をあげている。 その中で柔道においては「IJF(国際柔道連盟)は2016年にルールを変更し、柔道をよりダイナミックで観戦しやすいものにしようとした」が、「パリでは、多くの柔道ファンが柔道の質に不満を抱いた」とした。 具体的な理由としては「多くの試合が指導で終わること」や、「柔道家が慎重に戦うこと、指導を避けるために攻撃するふりをする」など偽装攻撃が乱発。さらに「一部の審判の判定の一部がファンを失望させた」とした。 ファンの失望を呼んだとしてフォーカスしたのは、競技最終日に行われた日本代表がフランス代表と戦った柔道団体決勝第5戦だった。阿部一二三が1階級上の73キロ級で臨み、同級銀メダルのジョアンバンジャマン・ガバと延長戦を含め約9分の死闘をくり広げた試合だった。 この試合では阿部が階級が上のガバに対して積極的に攻めながら、一方のガバは技がかけられず、終始逃げの姿勢となった。ガバに対し、指導が2つ与えられるも、阿部の勝利となる「3つ目の指導」が与えられなかったことも話題を呼び、海外のファンからも「3つ目のシドーはどこ?」と判定に疑問の目が向けられた。 記事の中では「日本とイタリアは大会初期から審判の判定に不満を漏らしていた」として、日本は大会最終日の混合団体戦で「阿部一二三が攻撃したにもかかわらず、ガバが3回目の指導を受けられなかったときに、さらに不満が漏れた」とガバが最終的に阿部を倒した試合が物議を醸したとした。 そうした判定の統一感のなさなどの問題を踏まえて、同メディアはルール改正の必要性を訴えた。 「28年のロサンゼルス大会まで柔道で慎重な傾向が続くなら、数年前のフリースタイルレスリングで行われたように、IJFはそれを防ぐための対策を講じる可能性がある」とルール改正の必要があると踏み込みながら、「柔道は伝統と歴史に支えられたスポーツであり、いかなる変化も議論の対象となり、近い将来に世界的な変化が見られることは難しいかもしれないが、オリンピックの観客はより多くのアクションとより美しい動きを見たいと思っているのは事実だ。ロサンゼルスでそれが実現することを期待する」と結んだ。 日本の国技である柔道は今や「JUDO」として世界に数多くの競技人口を増やしている。各選手の技術向上とともに、柔道の良さを伝えるための分かりやすい施策も求められている。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]