移住相談、宮崎県が前年度比2・6倍で全国一に ふるさと納税最多の都城市が牽引
宮崎県への移住相談が急増している。各都道府県を対象にした総務省の令和5年度の調査では、宮崎県への相談件数が前年度比で2・6倍、1万件以上も増え、前年度の17位から一躍全国最多となった。全国平均(10・3%増)と比べても伸び幅が突出している。牽引役となったのがふるさと納税の寄付額で日本一を誇る同県都城市だ。豊富な財源で子育て世帯への給付金などを拡充させ、同市への移住者数は前年度比で8倍以上伸びたという。 ■ふなっしーでPR、子育て支援、移住給付金 総務省の調査では、宮崎県への移住相談は前年度8782件あったが、今年度は2万2548件に急増した。 急伸した要因は、都城市が前年度の2496件から1万5358件に増えたことだ。同市では昨年2月、第一子でゼロ歳児からの保育料や中学生以下の医療費、妊産婦の健診費用の3つを完全無料化する方針を発表。その直後から相談件数が伸びた。さらに昨夏、千葉県船橋市の非公式キャラクター「ふなっしー」を起用して全国広告を展開し、移住相談の伸びが加速したという。 移住者に1世帯当たり最大500万円を支給する「移住応援給付金」などの効果もあり、同市では、移住相談窓口を介して転入した移住者数が、4年度の435人から5年度に3710人となるなど、順調な伸びを続けてきた。市によると、5年度の移住者の世帯主は20代以下が30・1%、30代が32・4%、40代が20・6%と現役世代が移住者の中心を占めている。 ■ふるさと納税日本一が下支え 充実した支援制度を支えるのが、ふるさと納税による寄付金だ。同市は牛肉や焼酎の返礼品が人気で、これまで平成27、28、令和2、4、5年度の5回、寄付額が日本一になっている。4年度は年間195億9300万円、5年度は193億8400万円の寄付があった。寄付金の収入が安定したことで、子育て支援など、通年の支出が必要となる政策にも大胆に取り組む転換が可能となった。(高木克聡)