日本屈指の欧州サッカー通・林陵平氏が語る「セルティックの今」
日本の欧州サッカーファンにとって、この方以上に信頼を寄せる解説者はいないはず。 サッカーに対する愛と知識に裏打ちされた“信頼感のある解説”でおなじみの林陵平氏に、セルティックについてあれこれ聞いてみた。
「林陵平監督」誕生の暁には……
――今回は林さんに「セルティック」をテーマに話を伺えればと思います。まずは所属する3人の日本人選手について。旗手怜央選手とは今季の開幕前に対談をされていましたね? じっくり話をしたのはその時が初めてだったんですか? そうです。もちろん選手としてはよく知っていましたが、旗手選手のほうから「一緒に話しましょう」と。本当に人格者で、でもすごく情熱があって。その対談以降、より応援していますね。 ――どんなところに強みがある選手だと思いますか? オン・ザ・ボール、オフ・ザ・ボールのどちらも、何でもできるタイプだと思います。オフであればスペースに飛び出すこともできるし、足元で受けることもできる。オンでは自分でパスも出せて、シュートも打てるし、ドリブルもできる。いろいろなことが高いレベルでできる選手だなと思います。 ――古橋亨梧選手はいかがでしょう? やっぱりゴールを決めきる力ですよね。ゴール前の動きや背後への抜け出しというところで、常に相手と駆け引きをしている。どんな状況でも優先順位の一番上に「ゴール」があるので、相手からしたら怖い選手ですよ。 ――林さんとはJリーグ時代に対戦経験もありますよね? (古橋選手が)FC岐阜の時代に、かな。今年の夏にJリーグの解説で一緒になったときに、本当に腰が低くて。「え? こんなにいい子なんだ」と(笑)。 ――前田大然選手とはチームメートとしてもプレーされましたね。 2017年に水戸(ホーリーホック)で2トップを組んでいましたから、何でも知ってますよ(笑)。とにかく爆発的なスピードとスタミナが魅力で、海外に行ってからより決定力がついて、“引き出し”も増えたと感じます。 ――前田選手との交流は今でも? たまにLINEしたりですね。僕は今、S級コーチライセンス(Proライセンス)の国内カリキュラムが終わって、まだ取得にまでは至っていませんが、監督としての第一歩を踏み出そうとしているところなんです。大然からは「いつか呼んでくださいね」っていう連絡がありました(笑)。 ――ああ、「林陵平監督」誕生の暁には……という? そう。林監督のもとで大然をFWとしてプレーさせるっていうのは、いつかあるかもしれないですね(笑)。 ――夢がありますね(笑)。2トップを組んでいた前田選手に限らず、3選手について「Jリーグ時代から変化したな」と感じるところはありますか? 全員に言えるのは、明らかにたくましさがスケールアップしました。それぞれが「自分が何をしなければならないのか」、「何をしないと活躍できないのか」を理解しながらプレーしているし、短所を消しながら長所を伸ばすことをしている。 ――その「たくましさ」というのは、フィジカルというよりはメンタルの部分? どちらもです。チャンピオンズリーグ(CL)でのプレーもありますし、常に自分を研ぎ澄ませてレベルアップしていかないとならない、という姿勢はすごく感じます。大然について言えば、シュートがうまくなった。もともとうまかったんですけど、よりレパートリーが増えてきたなと感じます。先日(CL第5節)のクラブ・ブルージュ戦のターンから右足で巻いたシュートとか、ああいうゴールも決められるようになりましたし、これからもっともっと楽しみな選手になっていくんじゃないかな。 ――現役日本代表の3選手が欧州のクラブにそろう、というのは歴史的にまれだと思うんですが、そのことは日本代表にどんな影響を与えると思いますか? 代表のレベルアップにつながると思います。世界最高峰のCLという舞台で試合に出場していますからね。今は3人がそろって試合に出る機会なかなかないんですが、それが増えてきたら、より3人の関係性が生かせるはずです。 ――3選手ともスタメンは飾れませんでしたが、11月のインドネシア代表戦では前田選手と旗手選手が、中国代表戦では古橋選手と前田選手が途中出場を果たしました。 インドネシア戦は解説を担当していたんですが、旗手選手が途中出場ながらいいプレーをしていて。シャドーでプレーして、ボールに触る回数も多かったですし、オフサイドになりましたがスルーパスを出したり、やるべきことをしっかりやっていた。存在価値を示したと思います。