「箱根駅伝にトラウマができた感じで…」天才ランナーは“実家に帰った”「陸上から離れていた」エースの復活…東洋大の逆襲はここから始まる
東洋、いいじゃないか。 今年は11月3日に行われる全日本大学駅伝の関東地区選考会がこのほど行われ、東海大学が1位通過、9秒ほど遅れての2位に東洋大が入った。 【貴重写真】「スーパー中学生」と呼ばれた石田の中学時代&レアな「丸刈り」時代の写真を見る 今回の走りを見る限り――「鉄紺復活」が本物と信じて良さそうだ。 なにより、内容が良かった。 1組では1年生の松井海斗(埼玉栄)、2組では網本佳悟(3年/松浦・長崎)がそれぞれ組トップでフィニッシュ。1年生の宮崎優(東洋大牛久・茨城)も2組の4位に入ったが、全員が集団のなかで自重しながらトップをうかがうのではなく、積極的に集団を引っ張ったうえでの好成績。日常の練習の充実、そして意識の高さがうかがえた。 レース後、「今年は久々に東洋らしいチームになりそうで、楽しみですよ」と酒井俊幸監督に声をかけると、 「ありがとうございます。やっと、学生たちが正面から言葉を受け止めてくれるようになりました。素直だといえるかもしれません。私としても、言葉が浸透していく手ごたえがあるんですよ」 酒井監督も勝負に行ける予感を持っているようだが、「なにより4年生が充実しているのが大きいです」と話す。
ぷっつりと情報が“消えた”
その象徴が3組に登場した石田洸介(4年/東京農大二・群馬)だった。 石田は、福岡の浅川中学校時代から世代トップをひた走ってきた。 2017年9月、彼が中学3年生の時に1500mの中学記録を出した日体大記録会の走りは、まさに衝撃だった。実業団の一線級のランナーに勝ちそうになったほどだった。結局、1500m、3000m、5000mの中学記録を更新。年明けの全国都道府県駅伝でもひとりだけ体つきが違っており、格の違いを見せつけていた。高校進学にあたっては福岡を離れ、群馬の東京農大二高に進んだが、順調に記録を伸ばし世代ナンバーワンにふさわしい走りを見せていた。 当然、東洋大では服部勇馬、相澤晃のように日本代表を狙う選手へと成長することが期待されていた。実際、1年生の時には出雲駅伝5区、全日本大学駅伝の4区で区間賞を獲得し、強さを見せていた。 ところが――。人生、順調に進むとは限らない。 1年時の箱根駅伝ではコンディションが整わず、出走は見送られた。酒井監督は言った。 「注目が集まる箱根駅伝ですから、石田クラスの選手ならば、それに見合ったコンディションで臨む必要があります。今回、そこまで状態を上げることが出来ませんでした。じっくり育てていきたいと思います」 しかし翌年、石田は2023年の箱根駅伝でエース区間の2区に登場するも、区間19位に終わった。「史上最高の2区」で石田はスポットライトから遠いところを走っていた。 それからぷっつりと、石田の情報が聞かれなくなった。
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