寿司文化を守るための”奇策”は副業にあり?老舗4代目の新たなる挑戦 開店した新業態が目指すもの
修業と副業収入の一石二鳥
握りの体験が反響を呼ぶ中、植松さんはある考えに至る。 それが副業として寿司を握る職人の育成だ。 「美松」4代目・植松隆二さん: 寿司職人といっても一流の寿司だけがすべてではないと思っている。回転寿司があって、うちのような町寿司の店があって、高級店のような店もある。その中でどこで働く人も“寿司職人”と呼んでいいのではないかと思っているので、もう少し“寿司職人”という枠を広げ、より寿司に興味を持ってもらう人を増やしたい
この日、下田市に出来た宿泊施設のオープニングイベントで寿司を握っていたのは若い女性3人だ。いずれも別の職業を本業とする中、植松さんから握りの手ほどきを受けた“副業寿司職人”だ。 植松さんは「3人とも副業寿司職人で、2人はきょうが初めて。本業の仕事をしながら何かできないかということで、寿司体験の延長で『より握りたい、もっと上手になりたい』という人たちです。きょうのイベントが(皆さんが)副業寿司職人を応援するきっかけになってくれれば」と、来場者に彼女たちを紹介。
“副業寿司職人”の女性たちは「普通に修業するとすごく時間もかかるし大変だと思うので、すごくいい機会だと思い参加した」「私は(寿司は以前)1回だけ握って、その1回で200貫くらい握らせてもらった」と話す。
“副業寿司職人”の握りを食べた来場者は「シャリも小さくてネタとのバランスがすごく良かった。とてもおいしい」「正直に言って、寿司の形はちょっと崩れていたが、(味は)まあまあいける。回転寿司のチェーン店より心がこもっていていいのでは」と一定の評価を下した。
立ち食い寿司店で副業職人を育成
また、植松さんは副業として寿司職人を目指す人たちの実践の場として立ち食い寿司店を計画し、2024年11月に「寿しらぼ三〇二(みまつ)」がオープンした。 この立ち食い寿司店を自らの店を持たなくても副収入を得ながら技術を上達させる場にすることを目指している。 美松4代目・植松隆二さん: 「新しいことがここで始まるだ」という気持ち。楽しみです