米国債ショートへの傾斜、CPI発表後にスクイーズの恐れ
(ブルームバーグ): 米国債トレーダーは重要な米消費者物価指数(CPI)統計の発表を前にかなり弱気な姿勢を取っており、さほど高くない数値にとどまった場合、スクイーズ(踏み上げ)に直面する恐れがある。
米商品先物取引委員会(CFTC)の週間データによると、借入金を利用しリターンを増やすレバレッジドファンドは、米国債利回りが最近上昇する中で2カ月ぶりに米国債先物市場でのショートポジションを増やした。JPモルガン・チェースの最新顧客調査では、現物市場でショートポジションが増加し、4月8日時点では約1年ぶりにネットポジションがロングからニュートラルに転じた。
米国債利回りは今週、今年最高の水準を更新した。米経済の好調を示す兆候と米金融当局者の慎重な発言を受け、トレーダーらは2024年の利下げ観測を後退させている。建玉残高変化に基づくと、5日と8日にはショートポジションの積み増しが見られ、トレーダーが米国債利回りのさらなる上昇リスクをヘッジしていることをうかがわせた。
9日に米国債相場は直近の下げを一部回復し、利回りは若干低下した。10日発表のCPIでは、トレーダーのよりタカ派なスタンスが裏付けられるか、さらなる見通し修正を誘発する可能性がある。
エコノミスト予測では、3月の米CPIは総合指数とコア指数(食品・エネルギーを除く)がいずれも前月比0.3%上昇したと見込まれている。ウェルズ・ファーゴのアナリストは5日付のリポートで、市場のポジションがかなり弱気に傾いているため、弱めの数値が発表されれば一段と劇的な反応を引き起こす可能性があると予想した。
統計発表を前に一部投資家がすでに弱気ポジションを手じまおうとしている兆候がある。9日の期間短めの債券価格の上昇は、短期金利先物の記録的な大きさのブロック取引が後押しした。利回りが年初来最高の水準にある中、こうした大口取引は、債券市場がショートに過度に偏っていると見る向きもいることを示す兆候とみられる。