高速を降りると「ゴルフ場の看板だらけ」な時代もあったけど… 令和の「ゴルフ場プロモーション」はどうなっている?
今は予約サイトにバナー広告を表示させるのが一般的
商品やサービスの知名度を上げたり利用者数を伸ばしたりするためには、良いイメージを持ってもらえるような宣伝を、いかに効率的にできるかが求められます。 【写真】ゴルファーなら一度はプレーするべき!? 名匠・井上誠一設計のゴルフ場3選
では、ゴルフ場はどのような方法を使って、プロモーション活動を行っているのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。 「かつては、メンバーシップ制を取っているゴルフ場であれば在籍しているメンバーか、メンバーの同伴または紹介によって来場した人だけで十分な収入を賄(まかな)えていました。しかし、バブル経済の崩壊でその仕組みの大半は消滅し、会員権の価値低下や預託金問題などが原因で、ゴルフ場は慢性的な財源不足に追いやられました」 「そこで、メンバーとの関わりがないビジターにも開放的な姿勢を取るようになり、21世紀に入ってからはインターネットが普及し始めたことも相まって、大手の予約サイトに広告を出し、より多くの人に存在を知ってもらおうという動きが見られました」 「しかし、こうした予約サイトは『料金別』や『エリア別』のように条件を絞って検索ができるので、利用者が求めている条件にヒットしなかったゴルフ場は見てもらえない可能性が高まります。そのためページ内にバナー広告を表示させ、プレー料金の安さやサービスの高さをアピールするなどして、閲覧機会を何とか増やそうという努力がなされています」
時代と共に宣伝方法は変化している
では、ゴルフ場が行っているプロモーション活動は、時代と共にどのような変遷を辿っていったのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。 「インターネットが今ほど普及していなかった頃は、紙媒体がゴルファーにとって重要な情報源でした。ビジターに対してオープンな方針に転換してからしばらくは、主要なゴルフ雑誌にこぞって広告を出していました」 「その後は割引券などがついたフリーペーパーが作られ、そこに通常の記事と同じような体裁で掲載する“記事広告”を出すところも増えていきました」 「そして、近年は女性や若い世代の来場者数を増やすべく、SNSや動画サイトのアカウントを使ってプレーを楽しんでいる様子をアップしたり、時には芸能人やインフルエンサーといった知名度が高い人にプレーしてもらって、注目度を高めようとしています」 SNSや動画投稿サイトへ著名人の協力を得て宣伝してもらう際には、いわゆる“企業案件”の一環として、魅力が伝わるようなレポートをしてもらうお礼に、プレー料金を無料にするといった対応を取るところもあるといいます。 ほかにも、ハイグレードなゴルフ場ではカード会社が発刊する高級会員向けの機関誌に広告を掲載するなど、相応のターゲットに絞ったプロモーションを行うこともあるそうです。 また、「ゴルフ場の名前を知る」きっかけ作りとして、高速道路のインターチェンジ近くなどに案内看板を立てているところも多く見受けられます。 コロナ禍は若いゴルファーが一気に増加しましたが、現在はその勢いも落ち着き始めています。若者をもっとゴルフに熱中させられるかどうかは、ゴルフ場のプロモーション活動にかかっているといっても過言ではないでしょう。
ピーコックブルー