仲代達矢さん「自然と歩む能登の大切な暮らし、いま一度思い起こして」…ゆかりの人がエール
能登半島地震の発生から1年がたった。石川県ゆかりの著名人らが応援のメッセージを寄せた。
仲代達矢さん 92 俳優 七尾市の能登演劇堂名誉館長
あの元日の地震からもう1年だというのに、能登では道端に崩れ落ちた家屋が人目を忍ぶこともなく放置され、戸口が歪んで傾いた空き家が玄関に赤紙を貼られたまま忘れ去られたかのようにひっそりと佇んでいます。しかし、どの家にも人が住み、祖父や祖母、父と母、そして子どもたちの3世代が連なって、生き生きと暮らしを成り立たせていた時代があったのです。
能登半島は過疎化の進んだ地域ではあっても、そこには、便利さでは片付けられない、“確かな”人間の暮らしがありました。その“確かさ”は、山や川や海などの自然を愛しみ、自然の営みと足を揃えて歩くことであり、日本の近代化とともに各地どこでも失われていったものです。その大切なものが、辛うじて能登には残っていた。いま一度、それを思い起こしてほしい。必ず我々の未来につながるものだと思います。