【社説】法的責任を避けないという尹大統領、自分の言葉を守るべき
警察と高位公職者犯罪捜査処、国防部調査本部が参加する合同捜査本部が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対し、あす午前に高位公職者犯罪捜査処に出頭するよう通知した。合同捜査本部は昨日、ソウル竜山(ヨンサン)大統領室と漢南洞(ハンナムドン)官邸に捜査官を送り、出頭要請書を伝達しようとしたが、受領が拒否され、郵便で発送したという。検察非常戒厳特別捜査本部も一昨日午前、ソウル中央地検に出頭するよう通知したが、尹大統領は応じなかった。検察は昨日、尹大統領の対面調査のための2次召喚を通知し、圧力を高めた。検察・警察の出席要請書には尹大統領に対する「内乱首謀者」容疑などが入った。職務停止中ではあるが、現職大統領が内乱首謀者の容疑で召喚通知を受けたという現実を多くの国民は心苦しく感じている。尹大統領が引き続き応じない場合、逮捕状を受けて強制拘引に動く可能性もある。 尹大統領は7日の1次弾劾訴追案表決の直前の国民向け談話で「戒厳宣言と関して法的・政治的責任問題を避けない」と述べた。しかし政治的責任を負うどころか退陣を拒否したことで、14日の国会で2次弾劾訴追案が可決され、職務が停止するに至った。尹大統領は憲法裁判所の弾劾審判でも積極的な弁論で対抗するとみられる。 こうした中、捜査機関の調査を拒否する姿勢は法的責任を避けないという自身の約束に背く無責任な態度を言わざるを得ない。特に軍兵力を投入した国会無力化の動きなどに尹大統領がどこまで関与したかを明らかにするのは重要な部分だ。すでに金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官をはじめ、多数の軍幹部と警察首脳部が逮捕または拘束状態にあり、内乱共犯容疑などで捜査を受けている。一部は非常戒厳の前後に尹大統領との電話で具体的な行動指針を受けたと述べた。郭種根(クァク・ジョングン)前陸軍特殊戦司令官は国会に出席して、「早く扉を壊して入り(国会本会議場の)中にいる人たちを引っ張り出せ」という指示を受けたと証言した。現職大統領が三権分立の一つの軸である国会に向けてこのような指示をしたというのは到底信じられない。 米国のハリー・トルーマン元大統領は執務室の机に「すべての責任は私が負う(The Buck Stops Here)」と刻まれた札を置いていた。尹大統領も普段からこの札を執務室に置いて最終責任は大統領にあるという事実を銘記してきた。非常戒厳事態に関する捜査を避けたり部下に転嫁したりすれば、この言葉を自ら否定する格好となる。尹大統領は捜査機関の召喚調査に誠実に応じて、違法行為があれば責任を取るという自身の約束を堂々と守ることを願う。