「この1年行っていない」人が半数近く、「親しみを感じる」人はわずか3割強… 「海と人をつなぎたい」思いを込めたビジュアルブック
海と環境をテーマにしたビジュアルブック『あおいほしのあおいうみ』を編集、発行したThink the Earthの上田壮一さん。近年、海と人々の心理的距離が広がっているという課題意識から出発し、宇宙から日常生活まで、多角的な視点で海の重要性を伝えることを目指している。環境教育の新しい形を模索し、持続可能な社会の担い手を育成する上田さんに聞いた。(聞き手 SDGs ACTION!編集部・池田美樹) 【写真】奄美大島と対馬の海は、いま…… ================================== 上田壮一(うえだ・そういち) 東京大学大学院工学系研究科修了後、広告代理店を経て2001年にThink the Earthを設立。地球環境問題や社会課題に対する意識を高める活動を展開する。ビジュアルを通じたメッセージの伝達に注力し、環境教育やプロジェクトを推進。特に「SDGs for School」などのプロジェクトを通じて、次世代の子供たちにサステナビリティの重要性を伝える活動を続けている。 ==================================
プロダクトからプロジェクトへ
――Think the Earthの活動と、「SDGs for School」プロジェクトについて教えてください。 Think the Earthは2001年の設立ですが、その起源は1997年にさかのぼります。当時、「宇宙から見た地球を携帯する」というコンセプトのプロジェクトを通信系企業と共同で開発していました。その後、事業化の話が進み、2001年に事業会社とNPOを同時に立ち上げました。 その時に作ったのが、半球型のドームの中で、小さな地球がゆっくりと回る「地球時計」というプロダクトです。当初からエコロジーとエコノミーの共存をテーマに活動を展開し、プロダクトはプロジェクトへの起点として位置づけて、コミュニケーションを軸にした活動を展開するようになりました。 「SDGs for School」は、2017年の新学習指導要領公示をきっかけに始まりました。持続可能な社会の担い手育成が盛り込まれ、SDGsが教科書に登場するようになったのですが、教材が不足していたんです。そこで私たちが入門書を作成し、学校に送ったのが始まりでした。 このプロジェクトは単なる教材提供にとどまらず、学校と企業やNPOをつなぐ中間支援的な役割も果たしています。例えば、教員からの相談で生徒のアイデアをプレゼンしたいという話を企業につないだり、逆に企業から教育現場と連携したいという相談を受けて、興味のある先生を紹介したりしています。また、教員研修や生徒との交流など、多岐にわたる活動を展開しています。