Web3はコミュニティのためにある。資本主義の上に新しいレイヤーを作り出す──CAMPFIRE代表取締役 家入一真氏【2024年始特集】
Web3への「覚悟」が足りなかった
──Web3に関連する規制が以前より整ってきたことが追い風になっていますか 家入:社会的にもこういった世界観が浸透してきたのではないでしょうか。以前は、僕自身も、僕らのようなWeb2.0の存在がWeb3.0の世界が到来するまでの間の「Web2.5」をどう作っていくかが大事みたいに考えていました。2.5というフェーズを踏んでから3.0に移行するべきで、本質的にWeb3.0でなければならないものが見つかったら、本格的に足を踏み入れようと思っていました。 ただ、最近は「何だか、ぬるいことを言っていたな」と自分の中で意識が変わってきました。Web3の世界は間違いなくやってきて、僕らのような存在はまた形を変え、違う形で自分たちにできる価値を提供していくことになります。そういった世界に対して、もう僕ら自身がベットしないといけないのではないか。Web3.0にしっかり向き合って、自分たちの「こうあるべき」という未来を自分たちで選んで、ベットする覚悟が足りなかったと思っています。 その半面、自律分散がキーとなるWeb3.0を考えると、僕たち自身が実はすでに大きなプラットフォームになっていることにも気付かされました。自分たちを否定するわけでも、卑下するわけでもないのですが、一方で、自分たちがそういう存在であることを自覚する必要はあります。プロジェクトを立ち上げたい人をサポートし、応援する側との間に入って手数料をいただくモデルでやってきました。そのプラットフォームである僕ら自身が中央集権的な存在になっています。 CAMPFIREはミッションとして「一人でも多く一円でも多く、想いとお金がめぐる世界をつくる。」を掲げています。それを本当に実現しようとすると、最終的には僕らのような存在はない方がいい。ただ、僕らも今まで培ったノウハウがあり、それを生かしながらWeb3の世界でどう取り組むべきかを模索してきました。価値を提供することに対して、対価をいただくことは正しいことだと思っていますが、ただマッチングして手数料をいただくのではなく、継続していくコミュニティに対して、僕らが何らかの価値を提供していくことに対して手数料をいただく。そうした方向にシフトしていく必要があると思っています。