Web3はコミュニティのためにある。資本主義の上に新しいレイヤーを作り出す──CAMPFIRE代表取締役 家入一真氏【2024年始特集】
お金だけではない応援の形
──ブロックチェーンやWeb3に着目したのはいつ頃からでしょうか 家入:2017年に「みなし業者」として暗号資産(仮想通貨)取引所を開設しました。ただ当時は法的にも曖昧な部分が多く、最終的にはライセンスを返納し、事業を断念しましたが、それ以降も可能性として模索を続けてきました。例えば、少額でできるクラウドファンディング「polca(ポルカ)」は、学生がプログラミングの勉強をするために3000円の本を買いたいときに10人が300円を出し合って応援したり、会社の人にみんなでお金を出し合って誕生日プレゼントを買ったりできるような仕組みでした。感謝の気持ちとともにお金を送る。お金はコミュニケーションツールです。当時、Web3の技術は使っていませんでしたが、将来的にはリターンをトークンにして送るようなことも考えていました。 東日本大震災の後に立ち上げたこともあって、「クラウドファンディングは社会的に良いものでなければいけない」というイメージもあります。僕はもっとさまざまな利用用途があると思っています。誰かが本を買い、コードが書けるようになればうれしいし、そういうことをもっと気軽にできるような世の中を作りたい。これまでもやりたいことはいろいろありましたが、法律の壁もあって、諦めざるを得なかったものもありました。ただ、これからWeb3を本質的にどう取り入れていくかについては、腑に落ちないものはやりたくありません。僕らだからやる意義があることにフォーカスしていて、ようやく「コミュニティ」がひとつの軸として見えてきたこともあり、開発を進めています。 ──新会社ではブロックチェーンをどう活用していくのですか? 家入:新会社の「Livefor」は「コミュニティ」という側面をプロダクトとしてサポートするものになります。具体的な形はこれからですが、クラウドファンディングは資金での応援が前提になっていますが、本来、プロジェクトに対する応援の形はいろいろな形があっていいはずです。資金提供をする人がいれば、デザインが得意な人もいます。自分が持つスキルや時間を提供することで応援するという形もあるはずです。 クラウドファンディングを広義に捉えたときに、人と人が繋がり合うなかで、自分にできる範囲でのコミットがしっかり評価される世界を作っていきたい。その部分でブロックチェーンを活用していきたいと思っています。