2024年は「ブレイクスルーの年」だった
規制整備の最後尾から最前列へ
2カ月前、米国は世界的な規制整備の後塵を拝していた。しかし今では、米国はデジタル資産の受け入れと拡大に向けて大きく加速し、もしかすると世界の他の地域を取り残していくかもしれないと見込まれる。 すでに発表されたトランプ政権の閣僚指名や人事は、暗号資産とデジタル資産に有利な方向性を強力に示している。ただしこれらの人事が実行されるのは、2025年になってからだ。 さらに11月26日、連邦控訴裁判所は、匿名決済に使われるプライバシーソフトウェアであるトルネード・キャッシュ(Tornado Cash)を制裁しようとする財務省の訴えを退けた。 財務省は、この技術が北朝鮮のマネーロンダリングに使われたと主張していた。暗号化技術の擁護者たちはこれに異論は唱えなかったが、財務省は特定のソフトウェア、特に特定の所有者や運営者がいない分散型ネットワーク上で動作するソフトウェアではなく、責任を負う個人や団体を追及すべきだと主張した。米国と欧州は現在も、責任があるとみなされた個人に対する訴訟を起こしている。 プライバシー技術は、今後企業や機関投資家の間でブロックチェーン技術の採用を推進する上で特に重要になるだろう。トルネード・キャッシュは、プライバシーと匿名性という2つの異なるコンセプトを絡めていたため、ビジネスユーザーにとって魅力的な選択肢ではなかった。 ビジネスユーザーは匿名での支払いや送金を求めてはいないが、競合他社から詳細を守る必要はある。一般的にプライバシーに関して有利な判決が出れば、ビジネスユーザーはより安心してプライバシー技術をオンチェーンで活用できるようになるだろう。
ハッピーエンドで終われるか
2024年の物語をここで終わらせることができれば最高だ。ハッピーエンドである。しかし、嵐の雲が迫っており、それを無視することに意味はない。 ブロックチェーン業界は伝統的に、業界の批評家たちに一連の「贈り物」を、しばしば年末に届けてきた。それはたいていの場合、目を見張るような詐欺や盗難、企業の倒産といった形をとってきた。 今年は、年末の家族の集まりで政治的話題を押しのけるような倒産はまだ起きていないが、伝統的な暗号資産ビジネスのサイクルがさらに高速で実行されているようだ。 ミームコイン作成プラットフォーム「pump.fun」をフォローしている人なら、そこにカジノのような雰囲気が定着しているのをご存知だろう。人々は、取引可能なトークンを作ってお金を稼ぐために、寸暇を惜しんでミームコインを発明している。誰かが子供の大学資金を失ってしまうようなことが起こるまでは、とても面白いものである。 だからと言って、地平線上に立ち込めるいくつかの暗雲に年末の良い雰囲気を台無しにされないでほしい。2024年はブロックチェーンにとって例外的に素晴らしい1年だった。方向性は変わらなかったが、動きはぐっと加速した。2025年には、加速度的な革命が起こり、太陽の光がさんさんと降り注ぐだろう。 ※当記事の見解は著者のもので、EYの見解を代表するものではありません。 |翻訳・編集:山口晶子|画像:Shutterstock|原文:2024 Was the Year of Breaking Through
CoinDesk Japan 編集部