家電量販店の優等生・ノジマが営業利益率で勝るヤマダ、ビックカメラに劣る数字…VAIO買収の先に潜む死角とは
稼ぐ力で他社を圧倒するノジマの強さの源泉は?
ノジマは2025年3月期上半期の売上高が前年同期間比9.8%増の3931億円、営業利益が同47.8%増の199億円だった。 今期は上半期だけで首都圏の駅前好立地を中心に7店舗新規出店し、デジタル家電専門店運営事業が11.3%の増収となる1453億円と好調だった。 ノジマは売上規模においては、ヤマダホールディングスやビックカメラに遅れをとっているが、本業での稼ぐ力を示す営業利益率は5.1%と業界でもトップ水準だ。 ちなみに、ヤマダは2.9%、ビックカメラが2.6%である(ビックカメラは2024年8月期通期の数字。それ以外は2025年3月期上半期のもの)。 ノジマのデジタル家電専門店運営事業に限定すると、利益率は6.0%に及んでいる。 この会社はメーカー販売員を置かない家電専門店として知られており、顧客の要望や悩みを専門店のスタッフが吸い上げ、商品を提案するというコンサルティングセールスに強みがあるのだ。 これが稼ぐ力の源泉になっているのだろう。 好立地に店を構えるビックカメラはインバウンド需要の受け皿となって好調だが、会社単体でも営業利益率は1.4%ほど。ヤマダのデンキセグメントに限定しても利益率は3.4%だ。 ケーズホールディングスが3.2%、エディオンが3.8%であることをみると、やはりノジマの利益率は他社を圧倒している。 しかし、株価がついてこない。 ノジマの2024年3月期のROEは12.1%。ROEは株主が出資したお金を使い、どれだけ利益を出したのかを見るもので、近年の投資家が最重要視する指標の一つだ。 ヤマダが3.0%、ビックカメラが9.6%であることを考えると、12.1%は家電量販店の中では極めて高いものだ。 しかし、ノジマの時価総額は2440億円で、ヤマダの4519億円、ビックカメラの3230億円と比べると見劣りする。売上規模で勝るケーズホールディングスですら2678億円なのだ。 さらにノジマのPER(株価収益率)は10.8倍で、ヤマダ、ビックカメラ、ケーズホールディングス、エディオンの中で最低。 PER(株価収益率)とは、株価を1株当たりの利益で除して求めることができる。株価が割高か割安か判断するものだ。 すなわち、高収益体質のノジマは競合他社と比較して割安であるにも関わらず、放置されているということなのである。