任意後見人のトラブル事例5選! 対処法から未然に防ぐ方法まで解説
4. 任意後見人とのトラブルを回避する方法
任意後見人とのトラブルを回避する方法としては、以下の3つがあります。 ・専門家に相談や依頼をする ・任意後見人に専門家を選任する ・任意後見制度以外の方法を利用する 4-1. 専門家に相談や依頼をする 任意後見制度を利用するにあたっては、事前に弁護士や司法書士などの専門家に相談や依頼をするのがお勧めです。専門家はトラブルになりにくい契約内容をアドバイスしてくれたり、希望どおりの生活を送れるような契約書を作成してくれたりします。専門家と話をすることで、任意後見契約が始まったあとの具体的な流れもイメージできるでしょう。その際は、任意後見制度に関するトラブル対応の経験をもつ専門家に相談や依頼をするのがお勧めです。 4-2. 任意後見人に専門家を選任する 弁護士や司法書士などの専門家に任意後見人になってもらうことで、横領などのリスクは比較的低く抑えられます。 ただし、この場合は任意後見人と任意後見監督人の双方に定期的に報酬を支払わなければなりません。財産や収支と照らし合わせ、報酬を継続して支払う余裕があるかを把握する必要があります。 なお、任意後見人に対する報酬額は本人と専門家との話し合いで決めますが、月額3万~5万円が相場です。他方、任意後見監督人の報酬は諸事情を総合考慮して家庭裁判所が決定し、目安は月額1万~3万円です。 4-3. 任意後見以外の方法を利用する 見守り契約や財産管理等委任契約、家族信託など、任意後見以外の制度を含めた比較検討も大切です。専門家に相談して、それぞれの制度の内容、メリットやデメリットを理解したうえで、自分に合う制度を利用しましょう。各制度の内容は以下のとおりです。 【見守り契約】 見守り契約とは、専門家などが本人と定期的に面談や連絡をすることで、生活状況や健康状態を確認し、本人を見守る契約です。 任意後見制度と異なり判断能力の低下前から利用できますが、財産管理や本人を代理した法律行為はできません。 【財産管理等委任契約】 財産管理等委任契約は、判断能力が不十分になる前から財産管理を任せる契約です。実務上は任意後見契約と同時に締結されることも多く、「移行型」と呼ばれています。 これは、判断能力があるうちは財産管理等委任契約に沿って対処し、その後、判断能力が低下した場合には同委任契約の効力を失効させ、任意後見契約に移行させるというものです。 【家族信託】 家族信託とは、信頼できる家族や親族などと信託契約を結び、財産管理を任せる仕組みです。 任意後見制度と異なり判断能力の低下前から利用できるうえ、積極的な財産管理が可能となる仕組みを構築できるのが特徴です。また、次代や次々代財産の承継先を決めることも可能です。 このように、任意後見契約とは異なるメリットがありますので、任意後見契約と同時に締結されるケースも多くあります。