任意後見人のトラブル事例5選! 対処法から未然に防ぐ方法まで解説
2-5. 【事例5】任意後見人と任意後見監督人の相性が悪い 任意後見では、任意後見人の事務が始まる際に任意後見監督人が必ず選任され、任意後見人が適正に仕事をしているかを監督します。多くの場合、任意後見監督人には裁判所が選任する弁護士や司法書士などの第三者が選ばれます。 任意後見監督人の候補者の推薦はできるものの、必ずしも希望する人が選任されるとは限らないため、任意後見人と任意後見監督人の相性が合わない場合もあるでしょう。別の監督人に変えてほしいという相談もありますが、単に相性が悪いという理由だけでは解任は認められません。
3. 任意後見人とのトラブルが起こったときの対処法
任意後見監督人が選任され、任意後見契約が開始されたあとにトラブルが発生した場合は、以下のような対処法が考えられます。 3-1. 任意後見人を解任する 任意後見人が任意後見監督人への報告義務を怠る、または本人の財産を使い込んでいた場合には、任意後見人を解任できます。 法律上、任意後見人に不正な行為、著しい不行跡、その他任意後見人に適しない事由があるときは、任意後見監督人や本人などの請求によって、家庭裁判所が任意後見人を解任できます。たとえば、後見人が本人の財産を使い込んだ場合は「不正な行為」に、後見人が報告義務を怠っている場合は「その他後見の任務に適しない事由」に該当するでしょう。 そこで、これらの解任事由に該当する事由があるとして任意後見監督人や本人が裁判所に申立てをし、任意後見人を解任してもらう方法が考えられます。解任の手続きについてわからないことがあれば弁護士に相談しましょう。 3-2. 任意後見人に対して訴訟を提起する 任意後見監督人が本人の財産を使い込んだ場合には、任意後見人を解任するとともに、その損害を回復するために訴訟を提起することも考えられます。 法律上、任意後見人が本人の財産を使い込んだ場合、本人は任意後見人に対して、不当利得返還請求権(民法703条)や不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)を根拠にして、使い込んだ金額を返還するよう請求できます。任意後見人が任意に返してくれなければ、訴訟の提起を検討しましょう。 ただし、訴訟となると法律的に明確な主張や立証が求められます。法律や裁判例に関する十分な知識がなければ対応が困難ですので、弁護士に相談や依頼をしましょう。相談する弁護士を探す際はポータルサイトを活用すると効率的です。