100人以上の死を見守った猫の不思議な力とは。介護施設で活躍する「セラピーキャット」の存在
環境省が公開している「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」によると、犬や猫の返還・譲渡率は年々増加しており、令和4年度には76%と最も高くなったそう。そのようななか、作家として活動するカリーナ・ヌンシュテッドさんとウルリカ・ノールベリさんは「猫がストレスや不安を軽減することは、研究で示されている」と話します。そこで今回は、お二人の著書『にゃんこパワー:科学が教えてくれる猫の癒しの秘密』から、不思議な<にゃんこパワー>の秘密を一部ご紹介します。 【書影】猫の不思議な力を解き明かす、にゃんこ本の決定版。カリーナ・ヌンシュテッド、ウルリカ・ノールベリ 翻訳:久山葉子『にゃんこパワー:科学が教えてくれる猫の癒しの秘密』 * * * * * * * ◆猫の癒しの力 病を患うと、猫の癒しやサポート力を実感させられます。 普段より心が弱い時に、誰かの近くにいることがいかに大事かがよくわかるのです。 「私たち人間は、動物と暮らし世話をするようプログラミングされている」と精神科医のジェームズ・A・ナイト(James A. Knight)医師は言います。 今では自然や動物と調和して生きることが当たり前ではないからこそ、それを覚えておくことが大切なのでしょう。 猫はうつや認知症の患者、読み書きの困難など特別支援が必要な子供の支えにもなることが証明されています。 犬も医療分野で素晴らしい活躍をしていますが、猫のほうが普段の世話が簡単。 エサと水があり、用を足せる場所があれば、あとは基本的に自分で生きられます。
◆猫のように、足で着地する ウルリカの友達がボッセという猫を飼っています。ゴミ箱の中でビニール袋に入った状態で発見され、栄養失調で衰弱していました。 当時は人が近づくと引っかこうとしましたが、愛情たっぷりにお世話をすると、人を信頼するようになりました。 ニーズさえ満たされれば、新しい家を見つけ、悪い経験を跳ね返し、2度目のチャンスをつかむ――そんな猫の話はよく聞きます。 私たち人間も、飢え死にする可能性は低くても、人生のどこかで現実に圧倒されることがあるはず。 病気、悲しみ、裏切りといった挫折を経験し、どうしようもない絶望にさいなまれるかもしれません。 自分の魂を大切にし、基本的なニーズを満たし、人生でいちばん風が強い時期にも一歩ずつ進んでください。 しなやかに、慎重に。そして猫のように足で着地しましょう。
【関連記事】
- がんを再発した夫と、過労で倒れた妻。家族に幸せを運んだのは…。猫アレルギーの夫が言った「猫を飼いたい」から始まって
- パソコンを広げると猫が邪魔を!「ネコハラ」急増の理由とは… 獣医師「子どもっぽいまま大人になった猫が増えた。特にオス猫に甘えん坊が」
- お腹がたぷたぷしている猫は「太り気味」?猫の肥満度は「あの箇所が触れるか」で分かる?獣医師「自己判断での極端なダイエットは絶対にやめて」
- 猫が高価なベッドより段ボールを好きな理由は?深夜の大運動会をやめさせるには?不可解だけど世界一かわいい愛猫の謎を獣医師が解説
- 2泊3日の旅行に行く際、愛猫は<ペットホテル><おうちで留守番><連れていく>獣医師のオススメは…「完全室内飼いで寂しがり屋さんが増えた」