胸&背中の“赤いブツブツ” カビによる「マラセチア毛包炎」 ニキビとの違い&治療法 皮膚科医が解説
カビが原因で、胸や背中などに赤い発疹が生じる「マラセチア毛包炎」と呼ばれる病気があります。あせもやニキビとは何が違うのでしょうか。もしマラセチア毛包炎とみられる症状が出た場合、どのように対処する必要があるのでしょうか。たかはし皮膚科クリニック(兵庫県尼崎市)院長で医師の高橋謙さんに聞きました。 【閲覧注意】あなたの体にもできている? 「赤いほくろのようなもの」の正体とは
ニキビの治療薬では治らず
Q.そもそも、マラセチア毛包炎とはどのような病気なのでしょうか。発症の原因や症状が出やすい部位も含めて、教えてください。 高橋さん「『マラセチア』というカビの一種が引き起こす、ニキビによく似た感染症です。高温多湿な環境下で過ごしたり、ステロイド系外用剤などを使用したりすることが、発症の主な原因と考えられます。ステロイド系外用剤を使用すると、使用箇所やその周辺にマラセチア毛包炎が出やすいです。 マラセチアが皮脂を分解し、炎症が生じることで発症するため、皮脂の分泌量が多い若い男性が発症するケースが多い傾向にあります。マラセチア毛包炎が出やすい部位は、前胸部や背部、肩回り、上腕伸側などです」 Q.では、マラセチア毛包炎とあせも、ニキビの違いについて、教えてください。それぞれ、皮膚にどのような症状が出るのでしょうか。 高橋さん「一般的に、あせもは子どもに多く、額や鼻の頭、四肢屈側、前胸部、背部などによく見られます。かゆみを伴うものが多く、赤い細かなぶつぶつとして認められることが多いです。 ニキビは、小学校高学年から高校生くらいの人に多く、顔に最も多く見られ、前胸部や背部にできることもあります。ニキビは毛穴にかぶさった赤いぶつぶつした皮疹で、その周囲に炎症が生じていない白ニキビのほか、膿疱(のうほう)と呼ばれる、赤いぶつぶつの中央に膿がある状態が見られることがあります。また、面皰(めんぽう)といって、ぶつぶつの中央に黒い点が認められることもあります。 マラセチア毛包炎は毛穴にかぶさった赤いぶつぶつを主体とし、膿疱を認めることもあります。これらの点はニキビと同様ですが、赤いぶつぶつが比較的均一に広がります。一方、ニキビはまばらに広がることが多いです。 また、その周囲に面皰を認めることはありません。鑑別方法は『年齢層』『出ている部位』『患部や周囲に白ニキビ、面皰があるかどうか』『赤いぶつぶつが均一に出ているか、まばらに出ているか』などを確認することです」 Q.マラセチア毛包炎とみられる症状が出た場合、どのように対処すればよいのでしょうか。やってはいけない行為も含めて、教えてください。 高橋さん「基本的に、マラセチア毛包炎は真菌感染症なので、ニキビの治療薬では治りません。マラセチア毛包炎とみられる症状が出た場合は皮膚科を受診し、処方薬で治療を行ってください。患部を引っかいたり、ニキビだと思って中身を出そうとしたりするなど、患部を触るのは厳禁です」 Q.マラセチア毛包炎を放置すると、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。 高橋さん「炎症が進行すると皮膚のバリアー機能が破綻し、その後、他のばい菌の活動が活発化し、二次感染が生じる可能性があるでしょう」
オトナンサー編集部