英成長率、来年は1%成長とOECD予測-ドイツとG7最下位交代
(ブルームバーグ): 経済協力開発機構(OECD)は2日公表した最新の経済見通しで、英国の成長率は来年、主要7カ国(G7)で最下位になると予測した。課税政策と高金利で経済が圧迫されるためだとしている。
OECDは2024、25両年の英成長率予測を下方修正。その理由として、今年のインフレ上昇に加え、個人所得税に関連した財政面の足かせといった「よりタイトなマクロ経済政策」の状況を挙げた。
24年の英成長率は0.4%と、G7で最下位のドイツをわずかに上回る見通し。25年は1%と予想されている。OECDが2月に発表した前回の予測では、英成長率は今年が0.7%、来年は1.2%とされていた。
この予測は、経済政策を選挙戦の目玉に掲げるスナク英首相にとって打撃となりそうだ。2日に行われる地方選挙では与党が大きく議席を減らすと予想されており、スナク政権に対する批判が高まる可能性もある。
国際通貨基金(IMF)と英予算責任局(OBR)は25年の英成長率をそれぞれ1.5%、1.9%と予測しており、OECDの見通しはかなり悲観的だ。
ハント英財務相は声明で、「昨年のわれわれの最優先課題が金利引き上げによるインフレ対応だったことを考えれば、今回の見通しは特に驚きではない」とした上で、「しかし、われわれは今、その闘いに勝利しつつある」とコメントした。
英国のインフレ率は22年に11.1%を記録したが、現在は3.2%まで低下しており、OECDは今年の平均が2.7%、25年は2.3%と想定。コアインフレ率は今年も3%を上回る水準にとどまり、失業率は現在の4.2%から25年には4.7%に上昇すると見込まれている。
政策金利は25年末時点で3.75%と高止まりする見通しだが、現在の5.25%からは下がるとOECDはみている。これはユーロ圏で同じ時期に見込まれる2.5%をかなり上回る水準で、英経済のパフォーマンス低迷の一因となっている。