勤勉なのは逆効果... 「思考力が高まる」10の方法
超随意的思考に任せる
考えるには、あまり、勤勉でありすぎるのもよくない。ときどきなまける必要があるらしい。その空白と見える時間の間に、ナマな思考が熟して醱酵が準備されるのである。 どんな忙しい人間でも、夜は必ず寝るが、この休息こそ創造的思考にとっても、もっとも重要な苗床となる。すべてを忘れて眠っているようであるが、そのじつは意志の力ではどうにもならない超随意的な思考が進められているらしい。 『知的創造のヒント』より
感想を書く
本などもただ読みっ放しにしないで、あと、かならず感想を書く習慣をつけるようにしたい。これがどんなにわれわれの精神を大きく豊かにしてくれるか、はかり知れない。書くことはおっくうであるが、頭脳をよくするもっともよい方法は書くことだ。とにかく、書いてみることである。 『ちょっとした勉強のコツ』より
一回性の思考を逃さない
ものを考えたり感じたりしたとき、とりあえず記録するノートはその人間の精神生活の履歴書のようなものである。このうえない貴重なものになる。ひとりの人間が偶然のように考えたこと、というのは一回性のもので、一度消えたら永久に還ってこない。 『知的創造のヒント』より
手帳を最大限に活用する
手帳のメモは思いつくままに書きつけて行くのだが、書きっ放しではおもしろくない。すこし風を入れたら見直してやる。そこでなおおもしろいと思われる考えはふくらむ可能性がある。用意したほかのノートへ移してやる方がいい。 そういうとき、もとのメモ群がただ雑然と並んでいるのではなく、通し番号がついていると参照のとき便利である。記入した日の日付けも添えておくと思わぬときに役に立つ。 『人生を愉しむ知的時間術』より
すてる知識を選ぶ
本はたくさん読んで、ものは知っているが、ただ、それだけ、という人間ができるのは、自分の責任において、本当におもしろいものと、一時の興味との区分けをする労を惜しむからである。 たえず、在庫の知識を再点検して、すこしずつ慎重に、臨時的なものをすてて行く。やがて、不易の知識のみが残るようになれば、そのときの知識は、それ自体が力になりうるはずである。 『思考の整理学』より
忘却してから記憶する
勉強したら休み時間をとる、のでは順序が逆で、まず休んで、頭の中をきれいに、いくらかハングリーの状態にしておいてから勉強にする。おいしい勉強なんてあるものではないが、ハングリーなら、まずいものは少なくなる。忘却から記憶、忘却から記憶というようにすれば、われわれの頭はずいぶん能力が高まるだろう。 『忘却の整理学』より
外山滋比古(お茶の水女子大学名誉教授)