旭化成とEV用「電池遮炎材」開発へ、マフテックが生かす耐火断熱素材の特徴
マフテックグループ(東京都千代田区、松﨑耕介社長)は、旭化成と電気自動車(EV)用電池の安全部材を開発する。マフテックの耐火断熱素材である結晶質アルミナ繊維を、旭化成の樹脂に含浸させる。EV電池の遮炎材として使い、電池が発火した際に高熱の炎や粒子を遮断する。鉱物を使う既存製品より軽く割れにくい部材にしつつ、コストを同程度に抑える。2025年3月をめどに製品化する。 マフテックの結晶質アルミナ繊維「マフテック」は1600度Cの高耐熱性と弾力性が特徴で、自動車の排ガスを浄化する触媒コンバーターの把持材が主な用途だ。旭化成の樹脂と組み合わせて成形性を持たせ、要求される寸法に加工しやすくする。板状に加工して電池モジュールの上部に配置し、発火時に居室を守る。 マフテックは、マイカ(雲母)を使う既存技術は重量や割れが課題だとみており、これらを補う新技術に育てる考えだ。今秋には営業を始める。 マフテックは22年に三菱ケミカルグループから分社独立した。米大手投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントの傘下。自動車のバッテリー電気自動車(BEV)シフトを踏まえ、EV電池向けや定置用蓄電池向けなどの新しい用途を開拓している。