独断と偏見、自動車最前線執筆陣が選ぶ【2024-2025年の1台】ホンダ電動化の幕開け、BEV「N-VAN e:」に期待
そのため、自動車メーカー各社がそれぞれ研究開発を進めており、実用化されれば、現在のガソリン車やハイブリッド車などと同等の性能を持ったBEVモデルが登場することも期待されている。 ちなみにホンダでは、2024年11月に全固体電池の開発拠点を公開している。栃木県さくら市の本田技術研究所(栃木Sakura)の敷地内へ建設したパイロットラインと呼ばれる施設だ。パイロットラインとは、いわゆる自動車メーカーの工場などで使われる専門用語。通常の生産ラインとは別に、新しい工法やその作業性などを検証するための研究開発用ラインのことだ。
ホンダによると、新しい全固体電池用のパイロットラインは、投資額約430億円で、約2万7400平方メートもの広大な延床面積を持つ。建屋はすでに建設済みだ。また、開発や検証に必要な主要設備の搬入もほぼ完了しており、2025年1月の稼働開始を予定しているという。 そして、ここが稼働すれば、ホンダ独自の全固体電池を開発研究するだけでなく、量産で必要な一連の生産工程も再現することで、各工程の量産技術や量産コストなどの検証も可能に。結果的として、より短期間で量産化を実現することを目指しているという。
■ホンダの全固体電池の性能 では、ホンダが開発中の全固体電池は、どんな性能が期待でき、いつ頃の実用化を目指しているのだろうか。 まず、実用化の時期は2020年代後半を予定。性能的には、従来の液体リチウムイオン電池を搭載したBEVモデルと比較して、まず、航続距離が2020年代後半で2倍。例えば、現在の航続距離が500kmだとすると、1000kmまで伸ばすことが可能になるという。また、技術革新などで全固体電池の性能がさらにアップすれば、2040年代までには現在の2.5倍にできるという。現在の航続距離が500kmであれば1250kmまで伸ばすことができるのだ。
さらに、例えば、航続距離を従来の液体リチウムイオン電池と同じに設定すれば、全固体電池なら50%のコンパクト化も実現可能。重さも、2020年代後半で35%低減するほか、さらなる技術革新などにより、2040年代までには45%軽くすることも可能だという。 加えて、電池の生産コストも、2020年代後半で25%、2040年代までには40%それぞれ低減する予定。ほかにも、全固体電池は液体リチウムイオン電池と比べ、可燃性ガス放出が少ないことで車両火災のリスクが低く、安全性も向上。80度など高温でも安定的に使用できるため、急速充電のポテンシャルを挙げられる(充電時間の短縮)など、数々のメリットを持つとのことだ。
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