「即位礼正殿の儀」とはどんな儀式? 明治以降に「和風化+西洋風」
天皇陛下の即位を国内外に披露する「即位礼正殿(そくいれいせいでん)の儀」が22日に皇居で執り行われます。この儀式はどんな内容で、どんな意義を持つものなのでしょうか。皇室の歴史に詳しい所功(いさお)京都産業大学名誉教授は「皇位継承に伴う儀式には大きく3つあるが、そのクライマックスの一つ」だと解説します。長い歴史を持つ即位礼に関する儀式は、明治維新を機にそれまでの中国風から和風に変わり、さらに西洋の要素も取り入れられていきました。 【動画】「即位礼正殿の儀」 天皇陛下「憲法にのっとり、象徴としての務め」
皇位継承の3つの大きな儀式の1つ
皇位継承に関しては3つの大きな儀式があると、所氏はいいます。1つ目は5月1日に行われた「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀」、2つ目は今回の「即位礼正殿の儀」、3つ目は11月14日から15日にかけて行われる「大嘗祭(だいじょうさい)」です。 「これら3つの儀式を合わせて今回は『令和大礼』と呼んでいいと思うが、それぞれには意味がある」 「剣璽等承継の儀」は皇位を継承したことを確認する儀式、「即位礼正殿の儀」は即位したことを披露する儀式、そして「大嘗祭」は新天皇が五穀豊穣や国民の安寧を祈る一世に一度の儀式です。
広く国内外に即位を披露する儀式
憲法2条に規定されているように、皇位は世襲によって継承されることになっています。 「即位礼正殿の儀」について、所氏は「皇室典範と(退位について定めた)皇室典範特例法に基づき、天皇陛下は、上皇さまの退位を受けて5月1日午前0時から法律的には新天皇に即位されているが、それを国民や世界がきちんと認識するための儀式」と説明します。 5月の「剣璽等承継の儀」では、皇位を受け継いだことを明確にするために「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」(いわゆる三種の神器)が新天皇に引き継がれました。 三種の神器とは「鏡」「剣」「璽(じ)=勾玉(まがたま)」を指します。「剣璽等」の「剣」と「璽」がこれに当たり、「等」の部分は、天皇の印である「御璽(ぎょじ)」と、国の印である国璽(こくじ)のことで、国事行為に関する書類などに押印されます。 「日本は平和だからいいが偽物が現れることもある。皇位を継ぐ正統性を証明するものが伴ってないといけなかった。これが『剣璽等』が受け継がれることの意味」 ただ「剣璽等承継の儀」は新天皇と、皇族では成人男性である皇嗣の秋篠宮さま、常陸宮さまが参列したのみの「ごく内輪で皇位継承の事実を確認した」(所氏)ものでした。そのため、より国内外に広く皇位継承を披露する必要があるだろうということで行われるのが「即位礼正殿の儀」なのです。 「剣璽等承継の儀」から「即位礼正殿の儀」までには準備期間が必要ということから「従来も一定期間を置いて行われた。今回は半年近く経て行われる」(所氏)。今回の「即位の礼」には、180を超す世界の国や機関などの国王や元首、各界代表者ら約2000人が参列すると伝えられています。