【動画コメントあり】板垣李光人 の芸術的才能が炸裂! 初個展『愛と渇きと。』に込めた、アーティストとしての想いとは
――すでに板垣さんの表現からは独自の世界観を感じられますが、影響を受けた画家などはいますか。 好きな画家としては、ダリやマグリットの名前が思い浮かびます。意識的ではありませんでしたが、頭の部分に花を描いた作品など、完成した作品を見るとマグリットからは影響を受けているんだなと感じましたね。肖像画の顔の部分に花や果物を描いた作品シリーズがすごく好きでしたから。それと、美術以外のもっと幼いころの体験として、ティム・バートンの作品が自分にとっての原体験のようなものとして残っています。作品の持っている雰囲気だとか、色の感じ、独特なムードに小さなころから惹かれながら見ていたので、影響を受けていると思います。
――ファンタジーだけど暗い部分があったり、ビビッドな色と黒を象徴的に組み合わせたり、たしかに板垣さんの絵画からはティム・バートンに通じるものが感じられます。 例えば『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』などにしても、キャラクターを通して人間のいやらしさや卑しい部分をしっかり描いている部分が魅力的です。今回の展示の最後のペインティング作品になりますが、最終的に自分の汚い部分や嫌な部分、黒い部分を認め、背負い、そのうえで花を咲かせるようなイメージで描いていて、そういう描写はティム・バートンと共通するのかもしれません。
――胸元には布で制作した花が立体的にあしらわれています。洋服作りも行う板垣さんらしい表現だと感じました。 油彩で花を描こうと最初に考えたのですが、花が咲くことを表現するのに油絵具だけでは物足りないと思って、2枚の布で立体的に花を作りました。デジタルと油絵具とファブリックが組み合わさり、自分らしい作品になったと感じています。
――そのペインティング作品の隣には、エピローグのように白い額装された作品が架けられていますが、どういった想いがこめられているのでしょう。 自分がペインティングを描く際に手がけたラフスケッチを集め、最後に誰に宛てたかわからないような書き損じの手紙を貼りつけました。フランス語で「愛とは渇きである」という言葉を書いたのですが、意図としては、それまでに誰かを求め、愛を求めてきた雑念をすべて捨て、最後に愛とは渇きであるという悟りの境地に至る。その流れの余韻のようなものとして展示しました。