月収65万円・59歳のサラリーマン、8回目の転勤の地「札幌」で定年退職…穏やかな日々を願うも、5年後に年金月17万円の老後崩壊「こんなはずじゃなかった」
転勤制度を採用する企業は3割近くになるとか。最近は、採用活動への影響を考えて制度の見直しを図る企業も増えているといいます。転勤を繰り返してきたサラリーマン、最悪の老後をみていきます。 ▼【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
転勤のある会社は3割…「未婚者」「子どもがいない」ほうが選ばれやすい
独立行政法人労働政策研究・研修機構が2017年に行った調査によると、正社員(総合職)のほとんどに転勤の可能性がある企業は全体の33.7%。3社に1社の割合でした。その後、働き方改革や人手不足が深刻化するなか転勤制度のある企業は避けられる傾向があることから、転勤制度を廃止する会社も増えているといいます。しかし大企業を中心に、人材育成や事業上の都合などから、多くの企業で転勤制度を採用しています。 アート引越センター株式会社が従業員規模300人以上の企業で、総務・人事など転勤に関わる業務に携わっている会社員に対し行った『転勤実態アンケート2023』によると、「年間の人事異動の回数」で最も多かったのが「毎年2回実施」で29.2%。「毎年1回」「毎年3回以上実施」がともに23.0%でした。 転勤者の選定については、44.8%が「本人の希望や意志を反映(やや反映含む)」。また71.7%が「転勤者を選ぶ際、家族構成は影響している」と回答し、60.2%が「既婚者よりも未婚者のほうが優先されやすい」、37.2%が「子どもがいない人のほうが優先されやすい」と回答しています。 60歳定年を控えていた阿部健太郎さんは、大学卒業後に就職した会社で、「(1)東京」→「(2)金沢」→「(3)大阪」→「(4)東京」→「(5)福岡」→「(6)広島」→「(7)新潟」→「(8)札幌」と転勤を経験。これだけ転勤をするのは同期のなかでも多いほうだといいます。 ――結婚もしていないし、子どももいない。何もしがらみがないから、真っ先に名前があがってきたのでしょう 定年後も引き続き働いてほしいという打診があったといいますが、8回も転勤を経験し「十分働いた」という満足感とともに、「一度、のんびりしたい」という思いもありました。 定年を前にした阿部さんの月収は65万円。預貯金は5,000万円を超え、退職金も2,000万円を超える予定。ねんきん定期便を確認する限り、65歳からは月17万円を超える年金がもらえる見通し。将来を見据えて、お金の心配はありません。 ――ひとりですし、派手にお金を使うこともなかった ――もう仕事をしなくても生きていける確信もあった 60歳を迎えた阿部さん、北の大地でサラリーマン人生を終えます。
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