横浜流星と藤井道人が『正体』撮影現場で見せた絆の深さ
撮影自体は2023年から今年にかけて、時期を2つに分けて実施された。夏シーンは2023年の7月頭にクランクイン、8月頭にクランクアップ。そして冬シーンは、2024年1月下旬にクランクイン、2月下旬クランクアップというスケジュールとなった。藤井監督も「やはりこれだけ著名な俳優をそれだけの期間拘束するって、プロデュース面からするとかなりハードルが高いんですが、そういうことをやってでも、撮りたいものを大事にしています。その時期にしかできない芝居はあると思うんですよね。時期を経て、髪型が変わったり、体形が変わったり、そういうことが大事だと思うので、それをやりたいというのは最初から話していましたし、それが画面に出ているので、無駄じゃなかったと思います」と語った。主要キャストの吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈らも「監督に細かく演出してもらえれるのがうれしい。こういう撮影現場はなかなかない」といった感想を漏らしていたという。
死刑囚が逃亡するという物語であることから、「本当に“横浜流星七変化”じゃないですが、彼がさまざまな姿・人格を変わっていろんな人に会っていくという話なので、いろいろな流星の姿が見られるし、その一つ一つの精度というか、その人になりきる力が圧倒的にすごくなっている。今回は本当に楽しく撮らせてもらってるというか、まわりがモニターを見ながら『やっぱり横浜流星すごい』と言っているのを、横で『でしょ』『うん、知ってる』と思いながら見ています」と笑いながら語った。
それゆえ「今回、新たに発見した横浜流星の顔は?」という質問にも「いや、全部知っているんで」と笑ってみせた藤井監督。「流星に関しては脚本づくりのときから一緒に作るタイプなんで。彼自身がどれだけ素晴らしいパフォーマンスをしてくれるかというのがわかっている分、一緒に練り上げていける。ほぼ僕は1回でOKは出さないんですけど、お互いが妥協しないまま、オッケーテイクを導き出していくようにしている」とのことで、横浜にだけは演出のアプローチがまったく違っているのだという。「やはりほかの俳優には感情の話をよくするんです。でも流星とはもうそこは終わっているんで。今、横で何ミリだから、その表現域じゃ伝わらないよとか。そっちの絵は今使わないから、間をずらしてくれとか。結構テクニカルなことまで共有できる。そういう風にできるのは多分、流星だけですね」と全幅の信頼を寄せていることを明かした。