トヨタ株主総会、豊田会長の取締役選任が焦点に-相次ぐ不正発覚で
(ブルームバーグ): トヨタ自動車は18日、愛知県豊田市の本社で定時株主総会を開く。グループ会社にとどまらずトヨタ本体でも認証不正が発覚し同社のガバナンスに厳しい視線が注がれる中、長らく経営トップを務めてきた豊田章男会長の取締役選任に関し株主がどのような判断を下すかが注目される。
創業者の豊田喜一郎氏の孫である豊田会長の取締役選任を巡っては昨年は賛否の分かれていた議決権行使助言会社大手2社がそろって反対を推奨している。また、公的年金基金で米国最大のカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)や2位の同州教職員退職年金基金(カルスターズ)といった一部大手機関投資家も昨年に続き豊田氏などの選任について反対する意向を示している。
2009年に社長に就任した豊田氏は、米国における大規模リコール問題、東日本大震災、新型コロナウイルス禍など多くの危機を乗り越え、同社の成長をけん引してきた。昨年4月に佐藤恒治氏に社長の座を譲ってまもなく子会社のダイハツ工業で認証不正が発覚。今月にはトヨタ本体での不正も明らかとなり、昨年の株主総会で10年以降で最低となった豊田氏の取締役の選任賛成率がさらに低下する可能性がある。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、グループ会社での不正を正していくとしていた中でのトヨタ自身の不適切事案発覚となり、同社主導の立て直しの実効性に疑問が呈されるかもしれないと指摘。豊田氏の取締役選任に反対する動きについて、豊田家とトヨタの在り方が改めて問われる可能性もあるとした。
一方、業績の面では好調で前期(24年3月期)営業利益は日本企業として初めて5兆円を突破した。また、トヨタグループを含め日本企業による株式持ち合い解消は加速しているものの、現時点ではトヨタは多くの安定株主を抱えており、豊田氏が過半数の賛成を得られず、選任案が否決される可能性は低そうだ。
岩井コスモ証券の菅原拓アナリストは電話取材で、豊田氏の選任が否決されることは考えにくいとした上で、「これだけいろんなことが起きると、耳の痛い話を言う株主が出てくるのではないかと思う。それに対してどう答えるのか、そういった発信は注目される」と話した。