女児殺傷の未解決事件が急展開、別事件の受刑者逮捕の背景とは?元刑事が解説
兵庫県たつの市で2006年、小学4年の女児を刃物で刺し重傷を負わせたとして、兵庫県警は7日、殺人未遂容疑で別の殺人事件で無期懲役判決が確定して服役していた勝田州彦容疑者(45)を逮捕した。勝田容疑者は07年に同県加古川市で小学2年鵜瀬柚希さん=当時(7)=が刺殺された事件への関与も示唆。未解決事件の急展開を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏はデイリースポーツの取材に対し、その背景について解説した。 勝田容疑者は同県姫路市で15年に女子中学生を刺した殺人未遂容疑で逮捕され、服役中の18年に、岡山県津山市で04年に当時9歳の女児を刺殺したとして逮捕され、22年に岡山地裁で無期懲役判決を受け、後に判決が確定していた。さらに、その服役中に捜査員による聴取が続き、たつの市と加古川市の事件への関与を示唆したという。 勝田容疑者は09年に姫路市や太子町などで少女の腹をドライバーの先端で突き、10年には少女5人の腹を殴る連続傷害事件を起こし、傷害・暴行罪で10年に懲役4年の判決を受けていたが、出所後に姫路市で起こした殺人未遂事件による服役中に過去の殺人、殺人未遂事件への関与が浮上したことになる。 小川氏は「今回逮捕された事件(06年、たつの市での殺人未遂容疑)も過去に逮捕された事件と手口が酷似しており、当時も容疑者として浮上していたはずですが、決め手がなかった。現在、無期懲役で服役している事件(04年、津山市での殺人事件)についても、本人はいったん自供しておきながら、公判では『刑事に自供を強いられた』などと否認に転じるなど、供述を変遷していた」と経緯を解説した。 未解決事件になっていた加古川市での女児殺人事件にも関与した可能性が出てきたことについて、小川氏は「無期懲役という刑が確定した後で、別の事件について話し始めたわけですが、いつ供述を変えるかもしれないということで、本人による『秘密の暴露』(※取り調べで真犯人しか知りえない事柄を自供すること)的なものを警察が緻密な捜査と地道な捜査によって引き出したのではないか」と指摘した。 さらに、小川氏は「10数年前の事件当時にも、防犯カメラには容疑者とも推測される人物の姿が写っていたが、その後、防犯カメラの解析度が上がるような機材等を警察庁でも導入し、以前は見えなかったものが、ここ5年くらいで変わってきている。そういった科学捜査の進歩も背景にはあると思います」と付け加えた。