パリ五輪モロッコ×アルゼンチンでアルゼンチン国歌にブーイング 「エンソ差別チャント事件」の影響も指摘
試合も大混乱に
五輪開会式に先立って行われている男子サッカー。1次リーグ・B組のアルゼンチン×モロッコは、2-1でモロッコが勝利。金メダル候補ともいわれるアルゼンチンは黒星発進となった。 試合は大荒れとなった。2-1で終盤を迎え、アルゼンチンのクリスティアン・メディナが終了間際に同点ゴールを奪ったかに見えたが、直後に観客の乱入が発生。選手たちはいったんピッチを退き、2時間ほどの中断のすえに試合は無観客で再開された。だがアルゼンチンの同点と思われたゴールはVARの介入でオフサイドの判定となり、結局モロッコが2-1で初戦勝利となった。 大混乱ぶりが各所で報じられる事態となっているが、試合前にも不穏な空気は流れていたようだ。仏『Le Parisien』によれば、アルゼンチン国歌が歌われた際に大きなブーイングが巻き起こっている。同メディアは、これがアルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデスによる差別的チャント拡散事件の影響を受けていると報道した。 E・フェルナンデスはコパ・アメリカ優勝後のチームバスの中で、アフリカにルーツを持つフランス人選手に対する差別的な内容を含んだチャントを歌い、その様子をSNSで拡散。これが大炎上し、チェルシーでチームメイトのウェズレイ・フォファナから「野放しの人種差別」と一刀両断されSNSフォローを解除されるなど、チェルシー内部の規律問題にも発展している。E・フェルナンデスはその後謝罪を行ったが、アルゼンチンチームに対する負の感情は大きくなっているのかもしれない。 チャントはアフリカ全体に対する差別ともとらえられるため、これにモロッコサポーターが不快な感情を抱いていた可能性もある。アルゼンチン代表を率いているハビエル・マスチェラーノ監督はE・フェルナンデスの事件について「冗談が他国では誤解されることがよくある」と擁護していたが、サンテティエンヌの人々やモロッコサポーターを納得させる説明ではなかったようだ。
構成/ザ・ワールド編集部