【学生長距離Close-upインタビュー】トラックで活躍する日体大・平島龍斗「他校のエースと1区で勝負を」
「リレーの相洋」に進学、都大路へ
神奈川県綾瀬市出身。野球少年だった平島は、持久走が得意で、綾北中では陸上部に入った。同級生に湯野川創(現・東海大3年)がおり、1年生の頃から湯野川に引っ張られながら練習に取り組んでいた。 中学時代の3000mの自己ベストは9分19秒05。決して速いタイムではなかったが、レースを見ていた相洋高校の小池進監督が平島の走りに惚れ込んだ。 「フォームは粗削りだけど、粘り強さがいい。うちでやらないか?」 それまで自己記録を出すことだけを目的にやっていた平島だったが、強豪校からの思わぬ誘いを受け進学すると、急成長を始める。 「リレーの相洋」と言われるほど、全国的にも短距離で有名な学校だが、神奈川県内では藤沢翔陵、鎌倉学園、東海大相模、法政二、川崎橘といった強豪校と駅伝でも県代表を争っていた。2019年の1年時に相洋高は県高校駅伝で3位。台風の影響でコースが損傷し、トラック開催となった大会だったが、6区終了時で3位の川崎橘との1秒35差を、7区の平島が逆転した。 そして2020年、コロナ禍での練習の苦労もありながら、相洋高が初の県大会Vを果たす。1区平島がトップと4秒差の2位で流れを作ると、東海大相模と終始接戦を演じて最後は15秒差で振り切った。 平島にとって初の全国大会出場となった都大路では「少し浮足立っていた」と1区37位と振るわず。「もっと頑張らなければ」と思うきっかけになった。 高3時は、インターハイ南関東大会で5000m14分12秒33をマークしながら8位。県高校駅伝も、ライバル湯野川を擁する東海大相模に破れて3位に終わった。目標を達成できず落ち込んだが、「高校最後に13分台を出そう」と小池監督に励まされ、12月の記録会で13分59秒00をマーク。箱根駅伝を目標に日体大へと進学する。 日体大へ入学を決めたのは、小学生の頃に見た服部翔太(現・立正大監督)らの箱根Vの勇姿に憧れたから。「あのユニフォームを着て自分も箱根を走りたい」。77年連続77回目の出場を目指す今年もまずは予選会突破が至上命題となるが、もちろん本戦1区でのリベンジを心に秘めている。 「他校のエースたちと1区で勝負するにはまだまだ力不足。5000mなら13分40秒は切らないと」。今季のトラックの結果にもまったく満足はしていない。 普段はおだやかな性格で「はっちゃけるタイプではない」という平島。山崎丞、田島駿介、浦上和樹といった個性豊かな日体大の3年生たちと、主将の分須尊紀をはじめ頼りがいのある4年生や後輩たちと切磋琢磨。夏以降、走りの面での爆発が期待できそうだ。 ◎ひらしま・りゅうと/2003年11月3日生まれ、神奈川県綾瀬市出身。綾瀬綾北中→相洋高→日体大。自己記録5000m13分53秒85、10000m28分44秒74、ハーフマラソン1時間3分47秒。
荒井寛太/月刊陸上競技