成瀬國晴さん 自らのイラストで「集団疎開」の体験語る
歌を通じて戦争や平和と向き合う
2部では、もずさんの門下生である歌手の高橋樺子さんが登場。田中裕子さんのピアノ伴奏で、戦時中や終戦直後にヒットした歌謡曲などを熱唱した。それぞれの楽曲が作られた経緯や民衆に支持された背景などをひもとき、歌を通じて戦争や平和と向き合う大切さを語り掛けた。
参加者のひとりで大阪市城東区出身の80代女性は、国民学校4年生で福井県へ集団疎開。ようやく疎開生活に慣れ始めた翌年春、弟も疎開することになり、家族の離散を避けるため、母の実家を頼って、今度は親子3人で香川へ。集団疎開と縁故疎開の両方を経験したり、いろんな事情で疎開先を転々とせざるを得ない子どもたちもいたようだ。 80代女性は「成瀬さんと比べると、私は幸せだったようです。福井では地元で獲れる小ぶりのカレイを食べさせてもらうなど、ひもじさを感じることはあまりなかった」と話す。一方で「香川にいたとき、米軍機の編隊が関西方面へ向かうのを見ると、大阪は大丈夫だろうかと不安になりました」と振り返る。現在は「平和を守りたい」との思いから、戦争体験を次世代へつなぐ活動に取り組んでいる。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)