大阪府教育長・水野達朗、「高校入試改革」の真意 「不登校や中退」「ICT活用」の課題解決にも意欲
「最初の100日」を大事にした理由
不登校支援を行う民間企業の経営者から大東市教育長へと転身し、2024年4月に大阪府教育委員会教育長に就任した水野達朗氏。現在45歳、都道府県教育長としては異色の経歴を持つ水野氏は、大阪府の教育をどう進化させていくつもりなのか。注目が集まる府立高校の入試制度改革をはじめ、大阪府の教育の課題や今後の展望について話を聞いた。 【写真を見る】民間経営者→大東市教育長→大阪府教育長、水野達朗氏の異色の経歴とは? ――民間の経営者と市町村教育長を経て、4月に大阪府教育委員会教育長(以下、府教育長)に就任されました。珍しいご経歴です。 一般的に、市町村教育長の多くが60代であり、高校を所管する都道府県教育長は高校の先生だった方がほとんど。私のように民間出身で40代、しかも同じエリア内で市町村教育長の経験がある都道府県教育長はおそらく史上初ではないかと思います。 ――大東市教育長の時代から、何か視点や価値観に変化はありましたか。 大東市教育委員会の事務局は約80名でしたが、大阪府は教育委員会だけで約800名もの職員がいます。予算も大東市は年間約55億円、大阪府は約5600億円と、規模感が違います。大東市では小回りが効くためスピード感がありましたが、やはり影響力の面では大阪府のほうが大きいですね。これだけ規模が違うと同じマネジメントは通用しません。 また、大東市では市立幼稚園・小中学校21校を所管していましたが、大阪府では約200校もの高校・支援学校等を所管しており、今はとくに高校生にとって必要な学びや改革に向き合っています。 ただ、改革といってもいきなり何かを変えようとはせず、府教育長に就任した際は「最初の100日をめちゃ大事にします!」と宣言しました。私が一番ものを知らないのに一番権限が強い立場なわけですから、まずは皆さんの悩みや課題を聞き、職員のポテンシャルが発揮できていない点などを徹底的に洗い出しました。そのうえで9月に方針を打ち出しましたが、これは大東市で取ったアプローチと似ていますね。 ――9月に出した方針とはどのようなものですか。 対内的なものですが、ワークポリシーを定め、9月1日に全課長を集めて伝えました。課題意識として私が挙げたのが(1)各課連携、(2)魅せ方、(3)働き方――の3つ。 (1)はもっとできるはずですし、(2)は職員がすばらしい仕事をしているのに府民に伝わっていないのでプロモーションをしましょうということ。(3)は、仕事を正確かつ迅速に行いながらも、つまらなさそうに仕事をしていたら子どもがワクワクするようなものは作れないので「ワクワク仕事」を生み出そうということです。