砂上の未来都市“ドバイ” 治安の良さと税金の安さは世界トップクラス…一方で「犯罪者が集う街」のイメージも? 現地在住日本人と考える“光と影”
■ドバイの住み心地・メリット
1999年生まれの鈴木結さん(24)は、ドバイに魅了されて、現地で働く道を選んだ。4年制大学で経済学を学び、学生時代は毎年アルバイトやインターンに奮闘。2022年に国内の一般企業に就職するも、2023年12月に会社を退職して、ドバイへ移った。現在は、日本人の移住をサポートする「ドバイ総合研究所」に勤務している。 鈴木氏は「資産を築く上で海外へ出る必要がある」といった危機感から海外を志向し、友人がいたドバイに「ビジネスの観点で魅力的な国だ」と着目した。「アブダビとの国境沿いで、3人で月36万円の家をシェアハウスしている。ブルジュ・ハリファ周辺のマンションだと、1LDKで月100万円ぐらい。物価は日本の1.5~2倍ほど」。 食事は「世界各地の人々が食べられるよう、各国の料理が楽しめる」。旅行先としても十分で、「航空機は若干高いが、ホテルは東京と比較すると安い」。住環境は「基本的にインフラが築10年未満で、最新技術も取り入れられているため、生活しやすい」と語る。
治安はどうか。「Numbeo」の国別犯罪指数2024によると、UAE(15.6)はアンドラ(12.9)に次いで、世界2位の犯罪率の少なさだ。以下、カタール(16.0)、台湾(16.7)、オマーン(19.0)などと続き、日本(22.6)は9位に位置する。 鈴木氏も「世界トップクラスにいいと思う」と太鼓判を押す。「東京よりもいい。子どもや夜道の女性のひとり歩きも安心。日本より痴漢や軽犯罪も少なく、逆に危機感が薄れてしまうほどだ」。
■ドバイの“ココがイケてない”
外務省の海外在留邦人数調査統計によると、ドバイ在住の日本人は、2023年で3557人と、UAE全体(4546人)の約7割を占める。また2018年の3147人(UAE全体では4280人)からの5年間でも増加傾向にある。 現地での仕事探しはどうか。「仕事はたくさんあるが、労働者階級と同様の仕事をすると、時給単価は安くなる。駐在員や事業主、投資家にはいい環境だが、労働は魅力的と言いづらい。日本人では、ネットビジネスなど場所に関係なく仕事できる人が多い印象だ」。 ドバイでは先日、24時間で2年分の大雨が降り、街全体が洪水被害に見舞われた。「道路に排水機能がないなど、インフラ強度の弱さを感じる部分もあるが、それ以外の不満は感じない」とした。