独身だと思っていたのに…!既婚者であることを知らないでお付き合いしていた場合、〈慰謝料が請求される場合〉と逆に〈慰謝料を請求できる場合〉の違いとは?【弁護士が解説】
「既婚者と知らずに付き合っていた場合、慰謝料を請求される?」「不倫の証拠をつかむために相手のスマホにGPSを仕掛けたらいけないの?」「不倫のボーダーラインはどこ?」など、不倫や浮気をめぐる法律について、上谷さくら弁護士の著書『新おとめ六法』(KADOKAWA)より一部抜粋して解説します。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
事例1:既婚者だと知っていてお付き合い
CASE:相手が結婚しているのを知っていたのにお付き合い。相手の配偶者にバレたら慰謝料を請求される? ANSWER:相手が既婚者と知りながら関係を持った場合、夫婦関係が破綻していなければ不法行為となりますが、破綻していれば不法行為ではないので、慰謝料を支払う必要はありません。不倫相手が「もうすぐ離婚する」「別居していて夫婦関係は破綻している」と言っていても、本当に破綻しているとはかぎりません。破綻しているかどうかは、別居の有無、別居期間の長さ、夫婦間の連絡の有無、離婚協議の有無など、総合的に判断されます。不倫相手の甘い言葉は鵜呑みにしないようにしましょう。
解説:不倫のボーダーラインはどこ?
次のうち、法的に不倫と認められるのはどれだと思いますか? (1)仕事の打ち合わせで、夫が職場の女性と食事に行った (2)夫が性交渉までOKの風俗に通っている (3)夫が交際相手とキスをしたことが発覚した (4)夫が同僚の女性社員に片思い 離婚理由になる不倫は、「不貞行為」があった場合です。不貞行為とは、性交渉を指します。つまり法律上は、(2)だけが「不貞行為」となります。1回きりでも不貞行為です。 (3)は「不貞類似行為」として、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」にあたる可能性があります。不貞類似行為とは、性交渉に類似する行為を行うことです。性交渉を最後まで行わなかったとしても、ホテルなどで裸や下着姿で抱き合ったりするだけでも不貞類似行為にあたることがあります。 (1)・(4)は、不貞行為にあたることはありませんが、妻が嫌だと感じるのであれば、いわゆる「性格の不一致」として離婚に至ることもありえます。