独身だと思っていたのに…!既婚者であることを知らないでお付き合いしていた場合、〈慰謝料が請求される場合〉と逆に〈慰謝料を請求できる場合〉の違いとは?【弁護士が解説】
事例2:既婚者と知らずにお付き合い
CASE:独身とだまされていて、既婚者と知らずにお付き合いしていた。別れたけど、相手の配偶者にバレたら、慰謝料を請求される? ANSWER:独身とだまされ、それを信じて交際していた場合、相手の配偶者から慰謝料請求されても、「独身とだまされて信じていた」ことを立証できれば、慰謝料を支払う必要はありません。 ただし、独身と信じたことに過失があった場合は、慰謝料の支払い義務が生じる場合があります。逆に、「独身」とだましていた相手に対しては、「貞操権侵害」を理由に、慰謝料請求できる可能性があります。
解説:貞操権侵害とは?
貞操権侵害とは、次のような事情があるときに成立する可能性があります。 ●既婚者であることを隠されていた ●既婚者と知っていたが、相手側の違法性が著しく大きい ●相手が自分と結婚すると言っていた ただし、ケースごとに事情は異なります。必ず貞操権侵害に該当するとはかぎりません。
事例3:不倫の証拠をつかむために
CASE:妻が不倫しているようなので、探偵に調査依頼したら、GPSは使えないので追跡調査が難しいと言われてしまいました。不倫を突き止めるためなら、許されるのではないでしょうか? ANSWER:承諾なく他人の持ち物にGPSをつけることは、ストーカー規制法違反や、プライバシー侵害になるおそれがあります。GPSは、人の行動を簡単に把握できるもので、その人にとっては重大な権利侵害となります。不倫を突き止められればどんな手段でも許されるわけではありません。
手続き:パートナーが不倫していたら……
不貞行為が認められる場合、その配偶者は離婚を請求できるほか、相手の不貞行為によって生じた精神的な苦痛に対して慰謝料も請求することができます。不貞行為を立証するには、配偶者以外の人と性行為があったことを証明する必要があります。不貞行為が行われている時期が長いほうが、違法性は強くなります。 メールやLINEなどのやりとりの履歴は、強力な証拠となることが多いです。不倫しているパートナーのスマホにそれらが残っている場合、写真を撮るなどして証拠化しておきましょう。探偵に依頼して不倫相手とホテルに入る場面を撮った写真も重要な証拠になります。 不倫が発覚したとたん目が覚めて反省し、夫婦関係を修復したいと言う人もいます。その申し出を受け入れられるかどうかについてはよく考え、話し合ってみましょう。婚姻期間の長さ、夫婦の年齢、財産の有無、子どもの有無、子どもの年齢などが、結論を出すにあたって大きな要素となるでしょう。どうしたらいいのか判断できない場合、別居して冷却期間を置く、というのも一つの方法です。 ただし、別居すると不倫相手と会いやすくなるうえ、別居期間が長くなれば、婚姻関係が破綻していると判断されるおそれもあります。別居期間中にどのようにコミュニケーションを取るのか、修復に向けた別居なのか、離婚に向けた別居なのか、別居の目的についても、別居前に話し合っておくのがよいでしょう。 なお、別居期間中は、収入が少なかったり、子どもと同居しているほうが「婚姻費用」という生活費を請求できる法律上の権利があります。