中国の「風力発電装置」メーカーが海外進出を加速 2023年の輸出6割増、国内の過当競争が後押し
中国の風力発電装置メーカーの海外進出が加速している。学術団体の中国再生可能エネルギー学会が4月19日に発表したデータによれば、中国メーカーの2023年の輸出量(定格出力ベース)は3665.1MW(メガワット)と、前年比60.2%の大幅な増加を記録した。 【写真】国有電力大手の国家能源投資集団が江蘇省の沖合に建設した洋上風力発電所(同社ウェブサイトより) 主要メーカー6社のうち、輸出を最も伸ばしたのは最大手の金風科技(ゴールドウインド)だ。同社の2023年の輸出量は1704.7MWと、前年の約3倍に急増した。輸出量の第2位は遠景能源(エンビジョン・エナジー)の1624MWで、前年比約4割増加した。
■上位2社で総輸出量の9割 ゴールドウインドとエンビジョンは、世界の風力発電装置メーカーのなかでも市場シェア首位と第2位に君臨する。両社の輸出だけで、中国メーカーの総輸出量の9割超を占めたのは注目に値する。 中国製の風力発電装置の主な輸出先は、中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」の沿線国や新興国グループ「BRICS」の構成国などだ。中国再生可能エネルギー学会のデータによれば、仕向地別の輸出量のトップ5はウズベキスタン、エジプト、南アフリカ、ラオス、チリの順で、これら5カ国で総輸出量の約7割を占めた。
(訳注:BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国の頭文字に由来する新興国グループ。現在はエジプト、アラブ首長国連邦、イラン、エチオピアを加えた全9カ国の枠組みになっている) 中国は風力発電装置の世界最大の市場だ。2023年に新規導入された設備容量は79GW(ギガワット)に上り、全世界の約6割を占めた。この巨大な需要を背景に、中国の風力発電装置メーカーは存在感を高めており、年間生産量は同じく全世界の約6割を占める。
とはいえ、国内市場では近年、中国メーカー同士の価格競争が熾烈になる一方だ。例えば陸上の風力発電所の競争入札における発電装置の平均落札価格は、2021年初めの時点では定格出力1kW(キロワット)当たり約3000元(約6万4052円)だったが、直近では同約1500元(約3万2026円)と3年余りで半値になった。 陸上用に比べてコストが高い海上用の風力発電装置も、平均落札価格は2021年初めの同約7000元(約14万9454円)から、現在は半分未満の約3000元に落ち込んでいる。