「ロックTシャツはダサい」なんてもう言わせない 大手レコード会社が仕掛ける「12000円」ロックTの勝算
青春の象徴ともいえる「ロックTシャツ」を“オトナ”が着ることについて、これまで度々論争が引き起こされてきた。いい歳をした大人が着るのは「だらしない」「品がない」などと眉をひそめる人も少なくない中、レコード会社大手のユニバーサルミュージックは新たにアパレルブランドを立ち上げ、「普段使いしても恥ずかしくないロックT」を発売するという。音楽業界の雄が、ファッション界に一石を投じる“本気のロックT”で勝負に出る理由とは。 【写真】「ダサい」なんて言わせない12000円のロックT * * * 今年6月、ロックTについて取り上げた6年前の記事が、突如炎上した。 <アラフォーのファッションで、1番大切なのが清潔感と品。ロックを聴いたり、バンドのファンでいることが悪いと言っているわけではありませんが、上品さや清潔感とは対極の位置にあるロックTシャツは、10代~せいぜい20代前半までしか許されないアイテムです。精神的に大人になり切れていないのかな、常識がなくて変わった人なのかな、と思われたくなければ、部屋着やパジャマにするのもやめて、こっそり思い出とともにしまうか、断捨離リストへ入れてください>(「OTONA SALONE」、2018年8月) この記事にネット上で賛否両論渦巻く中、歌手の荻野目洋子が同15日に投稿したXのポストは、多くの人の共感を集めた。 <何ならおばあちゃんになっても着ていたい。~中略~ 他人の事を批判する前にまず自分を幸せに出来る人間でいようと思うし楽しめる大人でありたい。服にはそういう力がある。「パワァーーー!!」> 自分が好きな服を堂々と着ればいいというメッセージは、まったくもって正論だ。しかし、ロックTに関しては、「そうは言っても……」と気後れする人は少なくない。
■新宿の伊勢丹はOK、池袋の東武はNG? 同20日にAERA dot.が配信した記事<「ロックTシャツ論争」に荻野目洋子参戦で再燃 40代女性は「着たいけどママ友の前では…」と悩み>では、ロックTを着ることに恥ずかしさを感じる女性たちのリアルな声を紹介している。 「新宿の伊勢丹には着て行けないけど、池袋の東武百貨店になら行けるかな?」(40代) 「お寺が経営母体の幼稚園に子どもが通っているので、保護者の送り迎えファッションは清楚系というか、どこかにリボンやフリルがある装い。そのため、ロックTシャツは着て行きません。着ている方も見かけたことはありません」(40代) ネガティブなイメージを持たれがちなロックTだが、そこに可能性を見いだしたのが、レコード会社大手のユニバーサルミュージックだ。 同社はアパレルブランド「U/MUSIC」を立ち上げ、ライセンス事業や商品企画を請け負うグループ会社「BRAVADO」が契約するアーティストのCDジャケットやツアーロゴをモチーフにした商品を展開する。来春発売のファーストコレクションは、ロックをテーマに、Black SabbathやLady Gagaなど約10組のミュージシャンに関連したTシャツやスウェットを用意している。 BRAVADO事業部長の堀内伸彦さんによると、近年はアーティストのファンでなくとも「ビジュアルがかっこいいから」という理由でロックTを買う人が増え、ヴィンテージ品が数十万円で取引されるほど、“音楽×ファッション”市場は過熱しているという。 一方、世間では、「ロックTは普段着には適さない」という見方も根強い。堀内さんは、従来のロックTが抱える問題について、こう指摘する。