「ロックTシャツはダサい」なんてもう言わせない 大手レコード会社が仕掛ける「12000円」ロックTの勝算
■12000円のTシャツは「高くはないと思います」 「アーティストの顔がどーんとプリントされているようなインパクトの強いロックTもよく見ますが、本来CDのために作られたグラフィックをそのまま服に載せれば、ミスマッチにつながる。ライブTシャツにしても、非日常の空間で観客同士が一体感を得るためのものであって、それを日常生活に持ち込まれるとダサいと感じる人もいるのではないでしょうか」 この“ミスマッチ”や“ダサさ”を解消するため、U/MUSICでは「ファッションアイテムとして適しているか」という視点でグラフィックを選定している。元のデザインをリサイズ・改変したものもあり、アーティストとは「このほうがファッションピープルには刺さります」などと粘り強く交渉したという。 商品価格も従来のロックTとは一線を画している。Tシャツが12000円、スウェットは20000円前後で、なかなか強気だ。だが堀内さんは、「ファッション軸で見れば高くはないと思います」と、きっぱり。 「今夏、コム デ ギャルソンがAdoのミュージックビデオのグラフィックを使ったTシャツを29700円で発売しました。ジュンヤワタナベは過去に、コレクションのランウェーでSex PistolsのロックTを披露しています。コム デ ギャルソンやジュンヤワタナベのTシャツなら、誰もがおしゃれだと認識するし、パジャマにする人なんていないはず。われわれもミュージシャンに箔(はく)をつけられるような本物のブランドに成長することを目指しており、そのための最適な価格を考えました」 堀内さんが思い描くのは、かっこいいTシャツをきっかけに、そのアーティストの音楽に興味を持ってもらえる世界だという。ファッション性では下に見られることも多かったロックTの逆襲となるか。 (AERA dot.編集部・大谷百合絵)
大谷百合絵