「宇宙経済」で発揮される、日本のリーダーシップとは
日本が宇宙経済における地位を維持・成長させる鍵
宇宙企業が提供するサービスの顧客は、依然として政府が大半を占める傾向にあります。11月に開催された討論会の参加者たちは、宇宙産業が自立して持続可能な状態になるまでの間、政府が方向性を示し、アンカーテナンシーを担う重要性を認識しました。一方で、宇宙産業が発展を続けるためには、例えば、資源管理に衛星データを活用すること、宇宙ステーションの微小重力環境で医薬品や材料を製造すること、さらには月面での資源採掘やインフラ建設など、他の分野から顧客や投資家を見つける必要があります。 ◾️日本の核となる強みを生かす 日本では、宇宙探査や宇宙の持続可能性の分野、ハードウェアやロボット技術において三位一体の中核を形成しています。第一に、政府が規制の枠組みを整え、資金を提供。これにより、何が規制され、何が規制されないかを把握することができ、活動の計画や投資がしやすくなります。加えて、政府による資金支援は、この分野が優先事項であり、国家的な関心が寄せられていることを示しています。 第二に、国の宇宙機関、学術界、産業界が、宇宙探査と持続可能性の中核をなす技術の研究開発を実施。そして第三に、商業サービスを実現する地上セクターの産業プレイヤーを含むエコシステムが成長しています。 内閣府宇宙開発戦略推進事務局長である風木淳氏は、「日本が世界の宇宙経済におけるリーダーシップと地位を維持・成長させる鍵は、こうした既存の規制や制度をソフトパワーとして活用すること」であると述べています。 日本は、1950年代から宇宙活動を通じ、豊富なデータや情報を蓄積してきました。こうしたデータを組み合わせることにより、多くの人々に影響を与える社会問題への取り組みに活用することができます。日本のリーダーたちは、日本が他国と差別化し、独自の価値を創造できる、新たな分野を見つけることを推奨。ispaceの代表取締役CEOである袴田武史氏が強調するように、同社が提案する将来的な月面活動はその手段となり得るでしょう。「地政学的にも、築いてきた信頼という意味においても、日本はユニークな立場にあります。私たちは、すべての人に利益をもたらす、豊かなシスルナー(地球と月の間の空間)経済を構築するため、包摂的な方法によりリードしたいと考えています」。 ◾️アジア太平洋地域における地域協力 日本は、世界の宇宙経済において、依然として全体のごく一部に過ぎません。日本の宇宙産業が本格的に成長するためには、グローバル市場への進出が不可欠です。米国市場は有力でビジネスにとって理想的である一方、市場参入にはハードルがあります。 グローバルビジネスを加速させるため、企業がすでに講じている一歩が、アジア太平洋地域(APAC)における地域協力です。この地域は同じ課題に直面しており、どの国も国内ではエコシステムを支えるのには十分な規模を持っておらず、競争力のある市場に参入するのは容易ではありません。「APACにおけるビジネス上の重要な課題は、人材と労働力の開発、他分野における宇宙の認知向上、需要の創出」であると、SPACTIDEの共同設立者 代表理事 兼 CEOの石田真康氏は語っています。