19年前のいじめ、神戸市教委が当時の担任を口頭厳重注意 父親は批判「より重い処分になるはず」
2005~06年、神戸市立小学校で当時5年生だった男性(30)が複数の同級生から暴力や金銭を取られるいじめを受けた問題で、市教育委員会は20日、当時の担任の男性教諭(50代)を口頭厳重注意の処分にしたと発表した。問題を巡っては、これまでの外部調査でいじめに関する資料の隠蔽なども判明。当時の校長や対応に当たった教育長ら計5人は既に退職し、本来なら処分の対象外だが、仮に在職していた場合に想定される処分を公表した。 【写真】神戸市立小の18年前のいじめ 「不十分で不適切な行為あった」教育長ら被害男性に謝罪 市教委は「当時の姿勢は消極的であったと言わざるを得ず、深くおわび申し上げる」と謝罪した。 処分は同日付。被害者の父親(61)や市教委によると、男性は暴力を受けたほかに約56万円を取られるなどし、転校を余儀なくされた。市教委は担任への処分理由として「一定の指導はしたが、丁寧な聞き取りや保護者への情報共有を十分に行わず、結果的にいじめの実態に気付くことができなかった」とした。 既に退職している当時の校長や教育長ら5人については、①組織としての消極的対応②当初不存在としていた公文書が、後に存在していたことが判明③いじめ事案に関する個人情報を含む公文書の持ち出し-のいずれかに該当すると認定。仮に在職していた場合、05、06年度の校長は①と③を理由に文書訓戒、10年度の教育長は②を理由に口頭訓戒に相当するとした。 父親は処分結果について「市教委の指針に照らし合わせるとより重い処分になるはずが、反映されていない。(外部調査の報告書に記載された)不正や隠蔽を認めない姿勢が表れている」と批判した。 事案を巡っては、被害者側が07年に損害賠償を求めて提訴し、一、二審ともいじめ行為が認定され勝訴。市教委は「保護者の意向で被害者本人から十分な聞き取りができていなかった」とし、判決確定後もいじめと断定してこなかった。 だが20年に始まった第三者委員会の調査で、市教委が「存在しない」としていた被害者本人への聞き取り文書の存在が判明。23年5月公表の調査報告書では、この文書の取り扱いについて「隠蔽と評価すべき」とされた。(久保田麻依子)