革新機構・田中社長が辞任会見(全文1)この水準の報酬が欲しいとは一度も言ってない
官民ファンド「産業革新投資機構」の田中正明社長が10日午後1時、東京都内で記者会見を行い、「5名の社外取締役、ならびに私を含む4名の代表取締役の9名が産業革新投資機構の役員を辞任する」と発表した。 【動画】革新投資機構・田中社長が午後1時から記者会見(2018年12月10日) ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードはYouTubeのTHE PAGEチャンネル上の「革新投資機構・田中社長が午後1時から記者会見(2018年12月10日)」に対応しております。 ◇ ◇
取締役9人の辞任意向を発表
司会:皆さんお待たせいたしました。本日は年末のお忙しいところ、また急なご案内にもかかわらずお集まりいただきましてありがとうございます。それではただ今より記者会見、始めさせていただきます。冒頭、本日発表いたしました内容につきまして、株式会社産業革新投資機構、代表取締役社長の田中のほうからご説明を申し上げ、そのあとで質疑応答とさせていただきたいと思います。合わせて1時間程度を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。では、お願いします。 田中:皆さま、ご多忙の中、急な呼び掛けにもかかわらずお集まりいただきましてありがとうございます。またこのところ経済産業省との関係におきましてお騒がせをしております。まずはおわび申し上げます。 本日の会見は発表文にもございますとおり、坂根議長を含む5名の社外取締役、ならびに私を含みます4名の代表取締役の9名が産業革新投資機構の役員を辞任することをご報告するものでございます。具体的な辞任の日付は残務処理を終えてからということになります。今般、辞任されます社外取締役5名の方々は、それぞれ辞任に関するコメントを発表されました。それらのコメントは会見後に配布させていただきます。
田中社長ら取締役が産業革新投資機構に集まった理由
田中:そこにも記載させておりますが、私どもは経産省が掲げた投資事業という金融機能を活用することにより、わが国の将来の産業競争力を強化し、そして新産業を創出する、こういう理念に共感しましてみんなで集まったものでございます。しかしながら、その後の経産省の姿勢の変化によりまして、私どもが共感しておりました、そうした目的を達成することが実務的に困難になったと、こういう共通の見解に達しまして、その結果、民間からの取締役全員が辞任を表明するということに至ったものでございます。 この職務をお受けする前から、私は常々、わが国の金融機能をあるべき姿に回復して強化するためには資本市場の強化・育成、それからインベストメントチェーンの拡充ということが喫緊の課題であって、そのためにはわが国におけるエクイティープロバイダー、この世界を力強くすることが必要だというふうに考えておりますと。そうした中、昨年、経済産業省の第四次産業革命に向けたリスクマネー供給に関する研究会への参加を要請されましたけれども、その取りまとめ報告書には現行の産業革新機構が行っている投資案件については予定どおりの周期、すなわち2025年3月末を維持することとし、その上で新たに産業革新投資機構、これをつくって、ファンドの評価とかガバナンスを担う機能を強化しつつ投資機能を高めると書かれています。JICは投資委員会の活動を通じてファンドの評価とかファンドに対するガバナンスをする組織なんです。 報告書ではさらに、その具体化に当たっては政府が定める投資基準によって明確なミッション設定を行うとともに、投資に適したガバナンスや事後評価、成果主義を徹底することで、適切な規律と現場での迅速かつ柔軟な意思決定を両立させると書かれています。また人材に関しましては、海外での投資経験を含め国籍、性別など、多様性に富んだ投資人材からなる国際的に見てベストなチームを組成する必要がある、優れた人材を集めるためには民間ファンドと比較できる処遇だけでなく、日本の明日を牽引する産業をつくるというミッションなど、職場としての魅力も求められる、このように書かれています。 さらに、そして日本の官民ファンドは投資先企業の価値を高めてリターンを最大化することに加え、政策目標の達成により国富を増大させることも目的とする、そう書かれています。それから産業革新投資機構でも2兆円余りの投資規模であり、これを内外の民間資金等を呼び込み、国内で十分大きな規模のファンドが組成する動きにつなげていくことが必要で、産業革新投資機構にはこうした取り組みを通じて、日本を代表する投資機関としてグローバルに認知されるものに成長し、日本におけるリスクマネー供給機能の強化に向け中心的な役割を担うことが期待される、このように結んでいます。