ホンダ ゼロシリーズ第1弾はSUV! CES 2025で明かされたSDV戦略の全貌とロードマップ
ゼロシリーズ第2世代ではルネサスとの共同開発によるSoCを搭載
上述のとおり、2020年台後半に登場するゼロシリーズの第2世代では、3つのドメインECUをひとつのセントラルECU(=コアECU)に集約した「セントラル型E&Eアーキテクチャー」に移行する。ここで課題になるのが、情報処理能力の向上とともに増加する電力消費をどのように抑えるかである。 その切り札となるのが、コアECUに採用される「高性能SoC(システム・オン・チップ)」。今回、ホンダはルネサス エレクトロニクスと共同開発することを明らかにした。AI性能としては業界トップクラスの演算能力=2000 TOPSを20 TOPS/Wの電力効率で実現するという。この圧倒的な高スペック半導体の搭載により、ゼロシリーズの競争力は一気に高まるはずだ。
本当の勝負は2028年から? SDV技術が量販車クラスに下りてくる
冒頭に紹介したロードマップによれば、2028年から2030年にかけてゼロシリーズ第2世代とも呼べる3台の新型車が発売されることになっている。コンパクトSUV、スモールSUVそしてコンパクトセダンだ。いずれも大衆車クラスであり量販車である。 さらに上述のとおり2020年代後半には、E&Eアーキテクチャーがセントラルアーキテクチャーに進化する。セントラルアーキテクチャーは高度なテクノロジーではあるが、実は車両の生産コストは大幅に圧縮される。またすでに発表されているが、2028年にはカナダ・オンタリオ州に新設されるEV専用工場の稼働も始まる。つまり、2028年を境に廉価なSDVを米国やカナダなどで大量に生産することが暗示されている。 ホンダはこの2028年から始まる数年間を「勝負の年」と位置づけ、充電インフラやエネルギーマネジメントも含めて着々と準備を進めているようだ。日産や三菱自動車との協業のタイムスケジュールもそれを念頭に置いて進められているはずである。 もちろんそれまでに、ゼロシリーズのSUV、サルーン、まだ公開されていないエントリーSUV、2027年発売予定の3列大型SUVもOTAによって着実に進化していく。さらには2026年から登場する次世代ハイブリッド車にも、ゼロシリーズで培ったSDVの要素技術が投入されて、ホンダ車の電動化/SDV化は一気に加速するだろう。 折しも2028年前後には、欧米メジャープレイヤー各社からも独自のビークルOSとセントラルアーキテクチャーを採用するSDVラインナップがほぼ出揃う。そのなかで、ホンダがどこまで独自性を発揮し、さらに中国勢とも勝負できる低価格を実現できるのか。その頭出しという重要な役割を担う「SUV、サルーン、エントリーSUV」の役割は重大であり、その出来栄えはまさしくホンダが考えるスマートモビリティの未来を占うメルクマールとなりそうだ。さらなる続報を期待して待ちたい。