ホンダ ゼロシリーズ第1弾はSUV! CES 2025で明かされたSDV戦略の全貌とロードマップ
ASIMO OSの第1世代はドメイン集約型E&Eアーキテクチャー
ビークルOSによって駆動されるECUの統合度合を表すのが、E&Eアーキテクチャーという概念だ。現在のクルマは、個々の車両機能部品(ハードウェア)を機能ごとに個別のECUで制御を行っており、統合制御には至っていない。ゆえにドメイン型E&Eアーキテクチャーと呼ばれている。 対してゼロシリーズでは、「AD/ADAS ECU(=自動運転領域)」と「Core ECU(=動力・制動など車体制御領域)」、「IVI ECU(=車載インフォテインメント領域:In Vehicle Infotainment)」という3つのドメインECUに集約された「ドメイン集約型E&Eアーキテクチャー」を採用する。いわゆるゾーン型アーキテクチャーだ。 さらに2020年台後半(2028年?)に登場する第2世代では、3つのドメインECUをひとつのセントラルECU(=コアECU)に集約した「セントラル型E&Eアーキテクチャー」に移行することも発表された。セントラルアーキテクチャーはテスラが圧倒的に先行しており、そのすぐ後ろを中国勢が猛追しているのが現状。そこにホンダをはじめトヨタやメルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、ルノー、ステランティスほか、世界中のメジャープレイヤーが莫大な資金とマンパワーを投入して、ほぼ横一線に並んで開発に邁進している。
AIを活用した自動運転レベル3(アイズオフ)をグローバル展開
ビークルOSとE&Eアーキテクチャーの進化とともに、ホンダが重点開発領域に位置づけているのがAIとの連携だ。なかでも自動運転領域では、世界に先駆けて高速道路から市街地までシームレスにつながる全域アイズオフ(=自動運転レベル3)の実現を目指している。 その実現に向けたコア技術が、ホンダ独自の協調AI技術と米Helm.ai社の技術を掛け合わせた「教師なし学習」によるAI画像認識。従来のAIは入力データに対してどのような正解を導き出すかをあらかじめ学習させる「教師あり学習」なので、未知の状況で適切な判断をするのは不得手だ。 対して「教師なし学習」は、データ量が少ない「はじめて走る道」でもAIが走行中に学習して自ら考える。さらに人の運転でも判断が難しい周囲の交通参加者との譲り合いなど、協調行動の精度をより一層向上させるとともに、急な動物の飛び出しや落下物など、想定外の出来事に対してもシステムが素早く適切に対処できるようになるという。 この新世代とも呼ぶべき自動運転レベル3技術は、まずは高速道路での渋滞時アイズオフからスタートし、その後は各国の法規制も鑑みながらOTAによる機能アップデートを通じて適用の範囲を拡大していく予定だ。 ※自動運転レベル3=条件付き自動運転のこと。特定条件下ではクルマのシステムが運転タスクを実施するので、ドライバーは常時監視から解放されることから「アイズオフ」とも呼ばれる。ただし、システムの要求があればドライバーは直ちに運転に復帰できなければならない。