1.9兆円!24年7~9月期インバウンド旅行消費額は7~9月期としては過去最高も…外国人人気の高い「姫路城」の入場者が「マイナス」のワケ【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
24年訪日外客数は、1~9月累計ですでに前年を上回りました。依然好調な様子ですが、実際には勢いの鈍化もみられています。一体どのような要因があったのでしょうか? 本稿では、景気の予告信号灯となり得る身近なデータとして、訪日外国人旅行数や旅行消費額、各観光名所の入場者数を取り上げます。エコノミスト・宅森昭吉氏の解説をみていきましょう。 【早見表】毎月1万円を積み立て「預金」と「NISA」を比較…5年~40年でどれくらい差がつくか
24年訪日外客数は、1~9月累計で早くも前年を上回る
24年9月推計値の訪日外客数は287.2万人で、前年同月比は+31.5%の増加になりました。コロナ禍前の19年比では+26.4%の増加です。単月の訪日外客数は、12ヵ月連続でコロナ前の水準を上回っています。 24年1~9月の累計は2,688.0万人と、23年年間の2,506.6万人をすでに上回り、24年の訪日外客数は前年比増加になることが早くも決まりました。また、過去最高だった19年の3,188.2万人に、24年1~9月の累計の19年同期比+10.1%の伸び率を掛けると、3,510.2万人となります。24年はこれまでのペースだと過去最高の3,500万人台になる可能性があります。 24年訪日外客数の「前年同月比推移」でみると、2月以降勢いは弱まる ただし、24年訪日外客数・前年同月比の推移をみると、24年はうるう年ということもあってか、1月の+79.5%ではなく2月が+89.0%で最高でした。しかし、その後は鈍化傾向で前年同月比2ケタ増加ではあるものの、9月は+31.5%になりました。 景気ウォッチャー調査の「外国人orインバウンド」関連現状判断DI、先行き判断DIの動きと同じで、悪くはないが勢いは弱くなってきた感じがします。 9月「外国人orインバウンド」関連現状判断DIでみても、勢いはやや弱まる 9月の「外国人orインバウンド」関連の現状判断DIは52.5と2ヵ月連続60を割り込みましたが、現状判断DIは22年5月から景気判断の分岐点50超が維持されています。 一方、先行き判断で「外国人orインバウンド」関連DIは、22年4月の46.9以来18ヵ月ぶりの50割れになった23年10月49.9から上昇に転じ、24年3月は23年7月69.8以来の水準である67.6まで改善しました。4月以降は60割れとなったものの、9月54.1まで50台での推移となっています。 なお、「外国人orインバウンド」関連のコメント数は、新型コロナウイルスが流行し、外国人の入国が規制されていた時期は極めて少ない状況でした。「外国人orインバウンド」関連の現状判断コメント数は、21年9月・10月は1名だけ。23年6月から11月の6カ月は70名台・80名台の高水準でした。12月は65名と5月以来7ヵ月ぶりに60名台に低下したものの、24年に入ると、1月81名、2月101名、3月96名、4月113名まで増加しました。しかし、その後はおおむね減少傾向で、5月92名、6月89名、7月77名、8月78名、9月69名と推移しています。