日本の「空き家」を約345万円で買った、50代オーストラリア人夫婦。退職プロジェクトとして復元を試みる(海外)
退職計画
2023年8月、夫妻は350万円、換算しておよそ2万3000ドルを支払った。 その家は日本式の表現で7LDKの広さだ。7つのベッドルームに、リビングルーム、ダイニングルーム、キッチンがそれぞれひとつという意味である。 集落にはおよそ300の家があり、ふたりの空き家は公民館につながる道沿いに建っている。買った空き家から田んぼを越えた場所にはセブン・イレブンもある。 これまで庭を整えたり、駐車スペースまでの私道部分に砂利を敷いたりするなど、家の前を整備してきた。キッチン部分の改修も終え、バスルームを新しくするために古いトイレも撤去した。 「目的は、いくつかの近代的な設備も取り入れたうえで、この家にかつてのような輝きを取り戻すこと」とジェイソン氏は言う。 古い家を改修するというチャレンジへ向けて準備をしていたころ、夫妻はヘビやクモなども含め、日々遭遇する野生動物の多さに驚いた。 「サルもいる。ムカデも、クマも、スズメバチもいる。家のなかにも入ってくるし、本当におっかなくて……今となっては笑える話だけれど」と、デボラ氏が言った。 ジェイソン氏にとっては言葉の壁も頭痛の種で、今は日本語講座に通っている。 「私はデボラと違って日本語ができないので、今は彼女に大きな重圧がかかっている」と彼は言う。「ここは多くの人が英語を話せる東京や京都とは違う」 夫妻は今後数年をかけて、このプロジェクトを少しずつ進めていくつもりだ。改修作業を記録して、自分たちのYouTubeチャンネルで公開している。 「時間がないわけでも、この家を利用して収入を得ようとしているわけでもない。エアビーアンビー(Airbnb)で貸したりするつもりもない。私たち夫婦のための家だ」とデボラ氏は言った。 夫妻は今もブリスベンを本拠として働いている。デボラ氏の話では、「5年から8年後」に完全に仕事をやめるまで、日本とオーストラリアを行ったり来たりする予定だ。