早大ラグビーが運営ビジネス力アップで復活を狙う!
遡って始動後初の公式大会である関東大学春季大会では、前年度中位陣によるグループBで1勝4敗、平均失点40.6とした。 早大ラグビー部は歴史あるクラブだ。それゆえOB会組織など、クラブを愛する人の数は多い。愛の数が多い分だけ、愛の方向性は四方八方へ散る。ビビッドな改革が春の結果に繋がらなかったことで、多様な意見も沸いただろう。 しかし、伊藤コーチは「そういったものは、僕のところへは届かない。大悟さんに守っていただいている」。ここで動じるそぶりを見せなかったのが、山下監督だった。 「もし説明を求められても、『いまはここがこうなっていて…』とお答えできます。何でも聞いて、という感じです。もちろん、OBの方には色々とご教示いただきますが」 例えば、大学選手権の終盤戦で帝京大とぶつかるとする。それまでの間には、どんな上積みが必要か。答えは、簡潔だった。 「ベースにこだわり、それを本当の強みにしていく。ここまでの試合から、最初に提示したベースを保ちながら、『ここをこうした方がいい』という要素を更新してゆく。あとは帝京大さんを考え相手の分析をする」 好スタートを切った早大は10月に3試合を行う。さらに11月6日、対抗戦で組まれた帝京大戦に挑む。以後も続く対抗戦での上位争いで4位以内に入れば、14チームでのトーナメントとなる大学選手権に進める。 さらに11月6日、対抗戦で組まれた帝京大戦に挑む。以後も続く対抗戦での上位争いで4位以内に入れば、14チームでのトーナメントとなる大学選手権に進める。 目の前のゲームを大切にするのがアスリートにとっての金科玉条だが、一大プロジェクトの成功には綿密な計画立案とその遂行が必須となる。2016年度の早大ラグビー部は、そのはざまで呼吸を重ねる。 ちなみに、早大が創部100周年を迎える2018年度は、ラグビーワールドカップ日本大会の直前期にあたる。斎藤や岸岡らルーキーにとっては、脂がのる3季目のシーズンでもある。 これらタイミングの妙は、帝京大の岩出監督も十分に、把握している。 夏合宿に対戦した印象について聞かれ、「あちらが時間をかけてやってこられた部分を、こちらはあまり練習していなかった。これから時間をかけてやります」。両者間に新しいライバルストーリーが始まれば、興業としての大学ラグビーは再び活気づくかもしれない。 (文責・向風見也/ラグビーライター)