早大ラグビーが運営ビジネス力アップで復活を狙う!
指揮官は就任と同時に、今季の日本一奪還までの「ロードマップ」を提示していた。 2月から春にかけては、現代ラグビーの構造とそれに伴う動き方を整理する。春から夏までは、今後の早大ラグビー部が生命線とする「強み」の土台を作った。 8月21日におこなった菅平での帝京大との練習試合を「ターニングポイント」とし、生来の「強み」をより実戦使用にアップデートさせてゆく…。かような道のりを順当に歩んでいるから、対抗戦開幕前に「ロードマップ通り」と話したのだ。 その「強み」とは何か。チームディフェンス、ブレイクダウン、スクラムである。 山下監督が唱える「鎖のようにちぎれないチェーンディフェンス」は、各パートナー企業とも力を合わせて夢を叶える「ビー・ザ・チェーン」というスローガンとも合致する。列を作り、2人がかりでのタックルを重ねては起き上がり、相手のランナーが孤立無援となった瞬間などを見定めて攻守逆転を狙う。その意識づけを、元國學院栃木高の古庄史和新ヘッドコーチとともに徹底した。 ブレイクダウンとは、ランナーとタックラーが衝突した接点のことだ。古今東西、ボールを境界線にした陣取りゲームであるラグビーにあっては生命線となる。早大も例に漏れず、「(接点に入る)1人目、2人目の選手が何をすべきか、明確にしている」と山下監督は言う。 何よりフォワードが8対8で組み合うスクラムには執念を覗かせる。ここで招かれたのは、伊藤雄大コーチである。山下監督が主将だった頃の2年生プロップで、前年度までプロ選手としてプレーしていた。最後列両脇のフランカーが斜め中央方向へ肩を寄せるなど、8人のフォワードが密な塊となる組み方を提示する。 「コーチは感覚的な部分を言語化して伝えなければいけないんですが、その経験の足りない部分を、自分が一緒にスクラムを組むことで補えたらと思っています」 夏以降は、攻撃の落とし込みもなされた。接点のスクラムハーフからのハイパントで陣地を獲得したり、グラウンド中央の接点からスタンドオフが扇状の陣形を操ったり。夏の帝京大戦では22―47と敗戦も、主力が出揃った前半は10―12と互角に映った。 スクラムトライを奪った内容に、伊藤コーチは「困った時にスクラムへ立ち返るという意識はできた。ただ、その日のレフェリーとの相性や向こうの強さによって、全てを圧倒できているわけではない」と収穫と課題を語る。 前年度の大敗を経験した桑野主将は、視界良好といった口ぶりだ。 「自分たちがやろうとしていることが見えてきた、いい状態です。いまはまず、今年の3つの強みを再構築しようとしています」