【何が…】「世界のFUNAI」破産決定の衝撃…前社長も現会長も「知らなかった」関係者が語る裏側 船井電機のトップだった前社長「不正な行為は一切ない」
■「必ずや再生する」破産直前に就任した会長 民事再生手続きの申し立て
こうした中、すでに裁判所が決定した破産手続きに『待った』をかける動きがある。破産手続き開始直前の今年9月に船井電機の会長に就任した原田義昭元環境相だ。 「破産について全く知らなかった」と語る原田会長。実はこの破産の申し立ては、創業家の取締役の一人が取締役会の決議を経ずに行ったものだったのだ。その取締役の関係者によると、「会社の経営が混乱していて、取締役会が開ける状態ではなかった」という。 原田会長は「この取締役は、破産申し立て時にはすでに解任されていて、申し立てができる立場にない」と主張。破産手続きの開始決定の取り消しを求め、即時抗告を行うとともに、事業の再建を目指して民事再生法の適用を東京地裁に申し立てた。原田会長によると、船井電機は会社単体では債務超過の状況だとしても、グループ全体では約200億円の資産超過にあるとして、テレビ事業を売却し、新規事業を立ち上げることで経営再建を目指している。 原田会長は2日、東京都内で開いた会見で、「経営に混乱があったことは認めざるを得ない」とした上で、「それを乗り越えて『必ずや再生するのだ』という思いで、民事再生の申し立てを行った。船井電機は、伝統と実績を重ねた企業。近いうちに再生させて国内外に事業活動できるように努力したい」と語った。
■元従業員たちの切実な思い「一連の騒動の真相はっきりさせて」
ただ、取材に応じた元従業員は、「ここ数年の業績を見ても、何年生き残れるか分からないところはあった。たとえ民事再生が認められたとしても、将来性のある別の会社に行く人が多いと思う」と語り、自身も船井電機で再び働く意向はないという。 先月、大阪府門真市のハローワークで行われた再就職の説明会には、多くの元従業員の姿があった。元従業員の一人は「家族が心配しているみたいで、地元に帰ってきてもいいかなとかいう話をしている。FUNAIブランドに誇りはあるが、それがなくなるのがショック」だと打ち明けた。 元従業員の男性 「この一連の騒動の真相という部分をはっきりさせてほしい」 取材で浮かび上がった、伝統ある日本企業の経営の混乱。一刻も早い真相究明が求めらるとともに、どの方向に進むにせよ、従業員が置き去りにされることは許されない。