【何が…】「世界のFUNAI」破産決定の衝撃…前社長も現会長も「知らなかった」関係者が語る裏側 船井電機のトップだった前社長「不正な行為は一切ない」
■破産に至る2つのポイント「脱毛サロン買収」と「不透明な役員交代」
企業の経営状況などを調査する信用調査会社「東京商工リサーチ」の藤本真吾氏は、船井電機が破産手続きの開始に至るまで2つの大きなポイントがあったと話す。 ポイント①「脱毛サロンの買収」 2023年4月、テレビ事業への依存から脱却を図るため大手脱毛サロンの運営会社を買収した上田前社長。しかし思うような収益を上げることはできず、1年足らずで売却することになった。 読売テレビが入手した破産申立書には「上田氏が代表取締役だった期間に、美容脱毛業界大手に対する支援などにより多額の資金が流出」「流出した資金はおよそ300億円に上り、預金はほぼ尽きている」と記されている。
ポイント②「不透明な役員交代」 今年5月、船井電機には、本業とかかわりのない人間が役員に就任した。交代や新たな役員が選任された経緯・目的は詳しく説明されず、外部や取引先が把握していなかったという。 そのわずか4か月後、破産直前の9月に全員が突然辞任。上田前社長も同じタイミングで退任したのだ。 最終的に「役員交代が信用不安になり、今回の破綻につながった側面がある」と藤本氏は指摘する。
■「破産はメディアで知った」上田前社長を直撃「不正な行為は一切ない」
「破産についてはメディアで知った。あってはならないことだと思う」 10日、東京都内で読売テレビの取材に応じた、渦中の上田智一前社長。「不正な行為は一切していない」と話し、2023年の脱毛サロンの買収については、美容家電を事業として立ち上げるためだったと語った。 上田前社長は、脱毛サロン買収などで「300億円が流出した」という指摘に対して、「テレビ事業が非常に大きな赤字を出していたから、もともとあった現預金が減っていた。300億円の内容は、ちゃんと説明できるもので、使途はすべて明確になっている」と語り、「テレビ事業の売却にも目途がついていた。工場の売却も進め、かなりの現預金が残るはずだ。破産申立書に書かれた(預金がほぼ尽きていたという)ことには誤りがある」との認識を示した。 さらに、「不透明な役員交代」との指摘について、「船井電機の資産、不動産などを売却するため、詳しい人に役員として入ってもらった。株主総会なども通しているし、不透明なところはない」と断言した。 一方で、突然解雇された従業員に対しては、「一緒に働いていたメンバーが年末に仕事をなくすのは遺憾で残念。非常に困惑している」と少し言葉を詰まらせながら話した。