じつはいま「中国」で大ブームになっている「最新エンタメ」の「スゴすぎる実態」
ドラマよりもマンガに近い?
ストーリー型のショートドラマが巨大化している理由は、課金制度にあると同社の金子氏。 「ネットフリックスみたいなサブスクが月1000円の時代に、1話ごとの課金なんですよ。1話あたり60~100円で、日本のドラマが30話、中国だと100話超えたりします。30話としても3000円、ネットフリックスなら3カ月観れる金額です。でもみんな課金しちゃう」 最初に10~20話が無料配信され、そこから有料になる。続きが見たいためにどんどん話を買っていくと結構な金額になる。これはウェブトゥーンの課金方法と同じだ。実際、プラットフォームの画面構成もよく似ている。今までのドラマとは収益の仕組み自体が違うわけだ。 「実際にウェブトゥーンの制作会社が参入し始めています。話だけなら数十社から聞いていますね」 当然、作り方もストーリーも違ってくる。 「既存のドラマとショートドラマはまったく違いますね。1時間ドラマはCM挟んで実質45分。ショートドラマも1話1分半~2分で30話で約45~60分。同じ45分の中に20回弱の課金ポイントがあって、感情の波を立てないといけない。通常のドラマが1話でやることを1分半でやるようなイメージです。そこが全然違います」 ドラマは冒頭に惹きつけるためのフック、途中に試聴維持のための事件の発生、ラストの引き=クリフハンガーが重要で、通常のドラマはこれを45分かけてやるが、ショートドラマは1分半ごとにこれを繰り返す。 外国のショートドラマの視聴層は30~50代の女性がメインだ。折茂氏は言う。 「ショートドラマはインモラルが売れると言われていて、不倫とか復讐とか、リビングでテレビで見るには見づらいが、スマホでチラ見するにはちょうどいいみたいな作品が好まれます」
人気のテーマと作り方
テーマは勧善懲悪が人気だ。 「わかりやすいんですね。中国のショートドラマで流行っているように見えるのが、日本でいう遠山の金さんや水戸黄門なんですよ。おじいちゃんに悪いやつが突っかかってきたら、この紋処が目に入らぬかとやる。タグでいうと「身分隠し」というタグがあって、掃除のおばちゃんが実は社長とかできない社員が御曹司とか、そして最後にボコボコにする。それぐらい簡単じゃないと見る方はストレスみたいですね。頭に入らない」 ジャンルも単純化され、勧善懲悪、医療、アクション、恋愛、インモラル、犯罪など10種類ぐらいしかなく、あとはその組み合わせになる。 作り方も違う。 「まず脚本ですが、テレビドラマや映画の脚本をされていた方に脚本を頼んでいます。ですが、とにかく枝葉はいらない。伏線もなし、全部カットです。なるべくシンプルな脚本に着地させる」 カンフー物だったら、ジャッキーチェンにしても修行が面白かったはずだが、修業期間の視聴には視聴者は耐えきれないのでカット、30秒後には主人公が強くなる。 「だからプライド持ってやっていますという方よりも、売れるもの作ってやりますよ、という人とじゃないと難しいでしょうね。商売だからと割り切って、いい脚本を作っていただく」 プラットフォームのアプリをダウンロードしてもらわないとドラマを見てもらう以前の話なので、いかにCPI(Cost Per Install:アプリをインストールさせるまえにかかる費用)を下げてユーザー数を増やすかが課題だ。 「CPIを下げる作品が欲しいので、……ウェブトゥーンで、テーマが分かりやすくて、不倫復讐や異世界転生モノを書いていたような作家さんが意外と向いているかもしれません。